愛しているからごめんね
この世に永遠なんて存在しないんだよ、と彼は言った。
ならばこの一瞬も逃さず愛せなければいけませんね、と僕は言った。
僕はまだ貴方と愛し足りないんですよ。
(強欲で我が儘な僕の思いも彼は黙って受け止めてくれる)
冷たくあしらう事もきっと出来るのに、それをしないのがきっと貴方の優しさなのだと、
(自分で勝手に解釈して、ああもう!)
「どうしようもなく、貴方が好きなんです」
そう、と感情の篭らない返答と、それに似つかわしくない泣きそうな微笑が返ってくる。
(嗚呼、それで良いんです)
(どこまでも、どこまでも)
残酷な位優しくて、でも刃の様に胸を切り刻んでいくこの思いも、
(果たして愛と呼べるのでしょうか?) (本当は、)
(この欲望の杯を全て埋め尽くせる程愛して欲しかったんです)
愛しているからごめんね
(嗚呼、どうしようも無いこの思いが全て溶けて消えていけばよかったのに)
作品名:愛しているからごめんね 作家名:白柳 庵