星の願い
私が眠っている間、片時も傍を離れずに、私を待っていると。
貴方なら、可能かもしれない。
1000年以上生きると言われている貴方なら、
私の眠りが覚めた1000年後の世界でも、貴方に会えるかもしれない。
でも、そんなこと私は望まないの。
だって、1000年間眠り続けている私のそばで、
貴方は生きているのですもの。
ただ眠っているだけの私と違って、
貴方は、たくさんのことを経験するでしょう?
でも、私のそばにいたら、何もできないから。
私は、眠っている時まで貴方の事を縛りたくはないから。
私が起きていた7日間は、ずっとあなたと一緒にいた。
たくさんわがままを言って、貴方を困らせた。
何度も、何度も貴方を困らせた。
それでも貴方は優しく笑って、私のわがままを聞いてくれた。
貴方は常に、私のそばにいてくれた。
明日私は眠ってしまう。
その前に、貴方の願いを叶えようと決めた。
夜が明けて、私の眠る日。
貴方は、いつもと変わらない優しい笑顔で、私に言うの。
「僕の願いは、1000年後に、また君と会えること」
それは、ある意味私の聞きたくなかった言葉。
この願いを叶えてしまったら、貴方は私のことを忘れてはくれない。
でも、叶えないといけない。
目を閉じて、願う。
あの人の願いをかなえるために。
少しして、私の体から力が抜けていった。
願いをかなえることは、未来を変えることだ。
だから、それ相応の力を使う。
だから、眠る前に願いを叶える。
本来なら、3つの願いを叶える力はある。
けれど、1000年後の未来に影響するほどの力を使った今では、もうほとんど残っていない。
あぁ、ごめんなさい。
今日は、最後まで貴方と居たいと思っていたけれど、それは無理みたい。
だから、眠る前に、私は願うの。
貴方が、いつまでも幸せでいられますように、と。
彼女が眠った後、そこにあったのは1つの水晶。
そして、それを眺める影。
その影は9本の尻尾を揺らし、とても優しい笑顔で、呟いた。
「ゆっくり、おやすみ。」