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確認強迫

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授業が終わって、今日は委員会もなくて。
「藤内どこ行くの?」
きっとこれは俺の趣味なんだろう。綾部先輩の穴掘りみたいに。
「予習してくる」
頑張るねえーと数馬が言う。

基本は体力作り、それから何事にも動じない心。加えて身のこなしの軽さがあれば大体の事はうまく行く、というのが委員長の言だった。あとは予備さえあれば完璧だと足された言葉はきっと彼なりの冗談なので笑っておく。なるほどそう考えてみると綾部先輩は条件を満たしている。一つとはいえ年嵩のしかもい組はやはり違うな、と思ってからそんな事ではだめだとかぶりを振る。成績順だと公に言われた訳ではないけれどやっぱり実績を見るだにそれは明らかで、同級でもい組なんか二課程くらい先をやっているって聞く。
(置いてかれているんだ、俺たち)
明日の授業は火縄の基礎のおさらいと縄投げ、簡単な暗号の小テストもある。俺たちはまだ三年生で12歳だからあんまり難しかったり危なかったりする授業はない。それでも分量を間違えたりうっかり首に掛かって引いたりすれば死んでしまうだろう。
(予習をしなくちゃ)
委員会は首の手入れと人相書きの練習をすると言っていたけれどどう変わるかなんてわからないから一通りさらってから、数馬に手伝わせて人相書きの練習をしておこう。

どこで予習をしようか、火薬庫を回っていくか、図書館が先かしらん、と思いながら廊下を渡っていると生物委員が委員会活動をしていた。何が逃げたのかしらないけれど網を持った先輩と、
(あ、孫兵)
あんまり親しくない同級生がガサガサと低木を漁っていた。成績優秀頭脳明晰い組様、普段は涼しい顔の孫兵が顔色を変えるのは愛しい蛇の事だけで、ならきっと今回もジュンコが逃げたんだろう。
(俺なら)
万全に整えて、逃がさないようにして、逃げたとしてもすぐに見つけられるように毎日のようにジュンコが逃げる予習をするのに。二課程も先をやっている孫兵は頭が良いから予習なんかしなくて、だからすぐに見つけられないんだ。
「逃がさないのに」
「浦風?」
ぽつりと呟くと孫兵が振り返った。涙目になるくらいなら予習をしろと俺は苛々する。俺の焦燥感なんて知らない孫兵は蛇の事で頭が一杯見たいだ。
「ちょうど良かった!浦風も」
「知らないよ。俺予習があるから」
きっと優しい顔は出来なかったろうな、と踵を返してから俺は思った。

おしまい
作品名:確認強迫 作家名:あおい