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天使2

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目がさめてみるとそこには俺の腕の中にすっぽりと収まるようにして眠る蓮二がいた。
俺の背中からはがれた羽を抱えて俺にぴったりと寄り添って、未だにまだ寝ている。
睫毛はまだ少し濡れて頬にも涙の跡が残っていた。せっかく羽が生えたとき原因も理由も知らぬふりをしたというのに利口な蓮二はやはり気付いてたどりついてしまった。
何かを守りたいと思っていた。小さな頃、それが夢だった。俺は今、蓮二を守りながら、守っているつもりになりながら、泣かせている。弦一郎がいなくなるのは怖い、と蚊のなくような声を抱き締めた腕の中で聞いたとき、胸をつく悔しさが驚くほど心に痛かった。
お前が目を覚ました時きっとお前は俺を責めるだろう、なぜ知らないふりをしたのかと。
しかし理由は単純だ、自分のせいで俺を苦しめてしまったとお前はきっと打ちのめされるのだろう。
俺はそれが嫌だった。

俺を愛してくれているお前を好きになった。ただ時々、悲しくなる。自分がとんでもなく馬鹿な生き物に思える。でも秘密にしている。蓮二には言わない。言えない。
きっといつの間にかお前の想いより肥大してお前の想いより強くなった。
「弦一郎」
「おはよう」
「…まだ、夜中だな」
「ああ、」
「背中、平気か?」
「うむ。」
羽がはがれたときの痛みは正直身を二つにさかれるような痛みだった、痛すぎて吐きそうになった。
この真田弦一郎が弱音をはくとは情け無いがそれほどのものだった。
「何故最初から俺が関わっていると言わなかったんだ」
やはり、言うと思ったとは言わないが。俺は少し笑うと蓮二は俺の胸をぐーで叩いた。
「笑い事ではない」
「すまん」
蓮二は自分が思う以上に人に優しい所がある。お前は優しいなと言うのに本人は決して認めない。
「この痛みで死ぬなら幸せだと少し思ったのだ」
「なにを」
「お前を想ったまま死ねるなら」
「だまれ!!」
蓮二は俺の腕の中から起き上がって俺にのしかかった。拳を振り上げて殴られると思い目を瞑るが一向に痛みはやってこなかった。
「蓮二?」
「死ぬなんて言うな」
俺に乗り上げながら、お前は額を抑えて泣く、腹の上にポロポロと雫が落ちてきた。
「…すまん」
ほら、またこうしてお前を泣かせてしまう。
「せっかく両想いになれたではないか」
「ああ。」
「俺は今とても幸せなんだ弦一郎」
「…俺もだ」
そうやって引き寄せて抱きしめると蓮二は俺にしがみついた。しがみつく力が強すぎて少しいたいが我慢した。
これは、お前を悲しませた報い。

「その羽はどうするのだ」
「俺が持っていてもいいか?」
「構わんが、そんなもの邪魔にはならんか?」
「いや、これを見て幸せに浸る。ニヤニヤしてやろうと思って」



END


俺はお前といられるだけで、本当にそれだけで、幸せだから。



20100708
作品名:天使2 作家名:Rg