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みそさざい
みそさざい
novelistID. 10303
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君と散歩道

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空が青くて君に会いたくなった。

「よっ」
「んぁ?兵助…どうした?」
「休みだからって寝て過ごすのは不健康だぞ」

竹谷の部屋に着くなり久々知は、竹谷にかかっていた布団をガバッと取り払った。勝手知ったる部屋の障子を全て開けると久々知はようやく竹谷に向き直る。

「ふあ~ぁ~、昨日夜更けまで孫兵のペット探しして寝てねえんだよ」

大きな欠伸を一つ吐きながら竹谷は寝間着のまま久々知を見上げた。私服に着替えてどこかに出掛けるのだろうか。とぼんやり思っていると、自分の着物を投げつけられた。

「ぶっ!何だぁ?」
「ほら早く着替えろよ、出かけるぞ」
「…逢引か?」
「あほ」
「ちぇ…」

渋々着物を受け取ると、竹谷は着替え始めた。外に目を遣ればからりと五月晴れの空が広がっている。こんな日は河原で寝そべりながら雲の行方を追うのもまたいい。髪を結い終えると、外を眺めながら待っていた久々知の元へ近づく。

「兵助」
「できたか?」
「あぁ」
「じゃあ行くか」
「あ、おいっ」

竹谷の準備が整ったのを確認すると久々知は早々と部屋を出た。竹谷も後を追う。
行き先も目的も告げられないまま二人は町へ向かっていく。ただ目についた店へ入り何を買うでなく一通り見て時間は過ぎていった。

「そろそろ帰るか」
「あぁ、結局何だったんだ?」
「何が?」
「今日の出かけた目的だよ」
「あぁ…」

帰る道すがら竹谷は足を止めて久々知に尋ねる。
久々知は足を止める事もなく、軽く振り向きながら笑んでみせた。

「逢引だよ」
「…ぇ」

そのまま固まる竹谷に構わず久々知は歩を進める。ハッと我に帰ると竹谷は久々知の後を追っていった。
夕映え以上に紅く染まった久々知を愛しく思いながら、手持ち無沙汰なその手を握る。

「素直じゃねえ奴」
「うるせ」

雲一つないこんな日には君と一緒にいたいから。



作品名:君と散歩道 作家名:みそさざい