二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
みそさざい
みそさざい
novelistID. 10303
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

双眸に揺らぐ

INDEX|1ページ/1ページ|

 
それはきっと壁を伝う雨粒のように。
流されて堕ちていくのだ。

「ハチ」
「んー?」
「それ面白い?」
「面白いわけあるか、兵助も暇なら教えてくれよ」
「ヤだ、面倒だ」
「…じゃあ茶化すなよ」

外は雨がしとしとと、何かを洗い流すかのように降っている。
静かすぎるそのさざめきに部屋と外界は隔絶されたようで。
まるでこの世界に、俺と竹谷の二人だけ。

「…」
「…」

だからこそ、その瞳は此方に向いてほしい、と。

「……どこ」
「…へ?」
「どこが分かんないのさ」
「教えてくれんのか?」
「このままじゃ埒あかなそうだし。で、何時までなんだ?」
「…明後日」
「明後日?じゃあ明日丸一日使えばいいじゃない」
「だって…」

ばつの悪そうに頬を掻く仕草が、逸らすその視線が、逐一俺の視線を奪って。
奪い尽くされたはずの心に拍車をかける。

「…休みは…兵助と、一緒に…いたいじゃないか…」
「…」

ほらまた、心を奪っていった。

「…ばーか」
「…どうせ馬鹿だよ」
「明日丸一日だって一緒にいて付き合ってやるさ」
「…」
「ハチが望むならな」
「っ、兵助っ」

減らず口には口付けで蓋をして。
君の君のその赤い唇で。
明日とは言わずもがな、何時まででも付き合ってやるさ。

「その代わり今日は俺に付き合ってよ」
「…っ、勝手にしろ」
「勝手にする」

代償は君の心と体で構わないから。
雨垂れのように流されていくのも、君となら悪くはない。



作品名:双眸に揺らぐ 作家名:みそさざい