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お前、今自分がどんな顔してるか知ってるか

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お前にだけは手渡しじゃなきゃ嫌だって我ながら子供染みた我儘だったのだけど、空は流石でにこりともせずに、お好きになさって下さいって段々あいつも母親に似て来てて怖えなって思ったりそんなんだったりで、太一の前にこれを持ってきたのは本当に、最後の最後になってしまった。
太一はそれを無言で受け取った。表をざっとみて、裏返して、もう一回表を見て。開けることはなかった。太一は初めからこんなものに興味などないようで、彼の散らかったリビングにそれは紛れてしまった。
「あいつが来るか、俺が来るかで喧嘩になったんだぜ、」
凄いだろ、と言葉を続けようとして、止めた。太一の顔は怖いくらいに真剣だ。嘘などとっくに見抜かれている。
「ごめん、嘘だ」
「ああ」
どうかしていた。俺は太一から空を奪っておいて、それでいて結婚式の招待状をわざわざ持って来て、なんだ。おめでとうとかそんな安っぽい言葉を掛けさせて、太一を惨めにするために俺はここに来たのか? もう二度と彼にこんな思いをさせないために、俺は空ときっちり鞘に収まったんじゃなかったのか? 結局俺のしていることと言えば。

「俺達、結婚するんだ」

お前がこんな風に笑いかける日が来るなんて俺は寂しい。