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執心

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以前なら時折、組頭に連れて行かれたりしていた忍術学園に
組頭に頼んでまで着いて行っている。
目的が出来たから。
土井半助、忍術学園教師であり、私が倒すべき相手だ。
いくら戦いを挑んでも無視をされ、子供に言うように馬鹿にした声で帰れと
何度言われても戦って勝つまで通うつもりだ。
思いだしても腹が立つ、文具で倒された屈辱を思い出しギリ、と唇を噛み締めた。




「・・・今日も着いてくるの、尊君。」
「はい。何としても勝たねば気がすみませんので。」
「・・・ふぅん。」
ご執心だねぇ、とどこか拗ねたような声をしながら
森の中疾走している。
もう少しすれば目的地、忍術学園が見えてくる。
今日こそ、と気合いを入れ走り抜けた。


忍術学園の壁を超え組頭とふた手に別れた。
組頭は保健室に、私は土井半助の部屋に。
時折同室の者がいるが、邪魔はされない。
やれやれ、とばかりに消えてくれる。
今日も土井の部屋の屋根裏に登り隙を伺う。
今夜は一人のようだ。
何か書きものをしているようで、隙あれば棒手裏剣で攻撃してやろうと
伺うのだが、気ずいているのだろう。どこにも隙はなかった。
「降りておいで、お菓子があるから」
上を見ずに声をかけられた。
チッと舌打ちをし、土井の部屋に降りた。
書きものをしながら
「よく飽きもしないで来るな。君の所の組頭も君も。」
とふざけた事を言いだした。
「何をっ!私はともかく組頭を侮辱するなっ!」
「おや、平和で良いねと褒めたつもりなんだが。すまんすまん」
まったく心の籠っていない謝罪をしながら相変わらずこちらを見ようともしない。
一見隙だらけに見える背後も、どこにも攻撃する隙はなかった。
じり、じり、と睨みつけ「勝負をしろ!」と声を荒げる。
「ははは、どうして僕が君と勝負しなければならないんだい?
ほら、そこの棚にお菓子があるから食べたらお帰り。」
こちらを一度も見ようともせず、つい、と棚を指さされ
頭に血が上るのが解った。完璧に、馬鹿にしている。
「お前っ!」
クナイを構え飛びかかろうとすると
「尊君。帰るよ~」
と組頭が降りてきた。
「土井半助君、ごめんね~。ウチの尊君がまたお邪魔したみたいで。」
「組頭!私は遊びに来ていた訳ではありません!」
まるで子供扱いに思わずカチンとなり抗議しようとすると
す、と唇の上に人差し指をおかれ黙りこんだ。
「いいえ、僕は気にしてませんよ。良い眠気覚ましになりますし」
組頭が話ているというのに相変わらず土井半助は無関心なのか
「ほら、早くお帰り」
と一度も私のほうを見ずに今日も帰る事になった。



何度通ってもまともに顔も合わせず、話にもならない。
いざ攻撃をしようとすればどこからか組頭が表れ連れ帰られる。
正直イラ立っていた。
相手にされない事か、視線一つよこされない事か、戦えない事か。
何にこんなにイライラするのかもう解らないほどイラ立っていた。




**


城に帰る帰り道、雑渡は尊奈門の様子を横目で見ながら
邪魔しなければお前はどうなっていたか解らないんだよ、と
心の中でため息をついた。

作品名:執心 作家名:カナン