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夜21時

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「今の状況わかるー?」
「俺たちだって悪人じゃないんだからさぁ、ちょーっと遊ぶお金カンパしてくれたらそれでいいって言ってんだよ?」
「そーそー金は天下の回りものっていうじゃん?回してあげようってんだから、どっちかと言えば善人じゃん?」
「ってなわけで、金よこせよ」

以上を見てもらったらわかると思うけど、僕、今カツアゲされてます。
なんで僕はこう外へ出ると何かしらに巻き込まれてしまうんだろうか。
一歩外へ出たら臨也さん。
二歩動けば臨也さん。
三歩歩けば不良軍団。
って感じで(明らかに臨也さんによる僕への被害が大きいけど)カモられやすく見えるのか(見えるんだろうな)僕はどうもこういう人たちに囲まれる率が高い気がする。
さすがに三回目ぐらいから慣れ始めて(嫌だけど)逃げ足はだんだん速くなってきてる。

「聞いてますかぁー?」
「ちょっと痛い目みないとわかんない系?」

これが臨也さんなら、聞いてますけど何か?ぐらいは言い返すんだけど(身の危険はあっても命の危険はないし)とにかく隙を狙って逃げ出すしかない。
どうせ裏路地に連れ込まれた時点で、誰かの助けを待つなんて無駄だし、時間が立ち過ぎると今度は殴られるまでのインターバルが短くなる。
何かいい手は・・と視線を不良の4人組から反らすと、ちょうど路地から見える通りに(金髪、の)

「すみません僕お金持ってないんで!!」

それじゃっ!と大声を出して、相手が一瞬びっくりしてひるんだ瞬間に通りに向かって走り出す。
ほんの5m程度の距離だ。
しかもラッキーなことに、向こうもこっちを見てた(夜でもサングラスかけてるんだ)

「あ、おいこらてめぇ!逃げんじゃねぇ!」
「金よこせってんだよガキ!」

後ろから伸びてきた手に捕まりそうになった瞬間、その手を逆に僕の前に立っていた人が掴んだ。
走った勢いのまま特徴的なバーテン服に飛びつく。
細身なのにがっしりした体はあっさりと僕を受け止めてくれて、僕の背後ではボキッだかゴキッだか発音しづらい音が響いた(ついでに不良の人の叫び声も)

「うるせぇなぁ。カツアゲなんて迷惑なことやってるやつが、夜に叫ぶとか近所迷惑なことまでやってんじゃねぇよ」
「静雄さん、ありがとうございます」
「ん?いや気にすんな。それより無事か?怪我ないか?」
「怪我してないですし、無事です。最近なんだか慣れました・・・」
「・・・苦労してんなお前」

男の人の手を握り潰したのとは逆の手で、僕の頭をぐりぐりと撫でる。
僕が静雄さんに抱きついたままだったから、なんだか抱きしめられてるみたいだ(体かたいなぁ・・筋肉だよね)
何を食べたらこんなに成長するのか気になるところではあるんだけど、とりあえず離れよう。
と、手を放したら、逆に静雄さんが不良の人の手を投げ捨てるように放して、両腕でぎゅっと僕を抱きしめた(うわ、胸板もすごいかたい)

「静雄さん?」
「あぶないからな、ちょっと離れてろよ」

そう言ってくるりと僕の体ごと180度回転する。
不良たちから一番遠い場所(静雄さんを挟んだ向こう側)に僕を、それこそ物を置くようにして立たせると、また180度回転して不良たちに向き合う。
その頃には静雄さんが誰なのか彼らにもわかったようで

「ま・・まさか、平和島静雄!?」
「なんでここに・・っ!っていうか人助けとかわけわかんねーことしてんじゃねぇよ自動喧嘩人形のくせしやがって!!」
「やばいやばいって俺にげ・・!」

3者3様というか、纏まりなくぎゃあぎゃあと叫びあう様子に、また静雄さんの苛立ちが強まったのがわかった。
ちなみに最初の手を潰された人はすでに精神が遠くの場所に行ってる(つまりは失神)(救急車呼んでおこう)
人ってあんなに高くまで飛ぶことができるんだなぁ・・と感慨深く眺めながら携帯で救急車を呼んでおいた。
ものの数秒で3人を片付けた静雄さんが、まだイライラした顔でこっちを振り返る。
青筋のたった(でもカッコいい)顔にちょっと前まではかなりビビったものだけど、なんだか慣れてきてる自分もいる。
不良に慣れたり臨也さんに慣れたり静雄さんに慣れたり・・・池袋は順応性が必要な街な気がする(慣れ過ぎたら嫌だけど)

「怪我は・・・」
「大丈夫です。ありがとうございました。僕より静雄さんは怪我ないですか?」
「・・・ああ。大丈夫だ」

ちょっとだけ口の端を緩めて、また僕の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。
最近の静雄さんの流行りだ(会ったら絶対やられる)
自分を子供だと(自覚はしてる)思いたくないけど、子供扱いされてるんだろうか?(されてるんだろうな)

「えと、本当にありがとうございました。今本当に手持ちないんですけど、今度何かおごらせてください」
「いいって気にすんな。あー・・それよりこれから帰りか?」
「あ、はい」
「んじゃ送る」

そう言ってひょいっと僕の手を握る。
静雄さんの手はやっぱりかたくて大きくて、握られた僕の手は子供そのものだった(静雄さん相手だとあまり悔しくもない)
というかなんで手繋ぎ?

「あの、静雄さん」
「お前あぶなっかしいからな。こうやってりゃ絶対無事だろ」
「・・・ありがとうございます」

完全な善意に何も言えず、とりあえずお礼を言うと、やっぱり静雄さんは笑った。
この人ほんとにカッコよすぎる。




(う、うわー!!帝人君がシズちゃんに汚されたー!!)
(てめぇ臨也ふざけたこと言ってんじゃねぇえ!!)
(静雄さんに助けてもらいました。カッコよかったです)
(・・・・シズちゃん、一回と言わず五回ぐらい死んでみない?)
(はっ、僻んでんじゃねぇよノミ蟲が。てめぇこそ死ね)
(そしてなんで臨也さんはナチュラルに僕の部屋にいるんですかね・・)

作品名:夜21時 作家名:ジグ