二次創作オールジャンルの短い話のまとめ。(永遠に執筆中)
戦国☆パラダイス(新しく追加しました)
『えりばでぽっきー!』(戦パラ/ 兼続と三成)
「? どうしたのだ兼続」
「あぁ石田殿。ちょっと渡したいものがありまして」
赤い色をした箱を手渡される。表面には見た事もない文字が踊っていて、なにを示しているのかわからなくて固まっていれば、兼続のふふと笑みを浮かべてきた。
「ぽっきー、と呼ばれる甘味のようです」
「甘味、」
じゅる、と唾液が口の中に溜まっていく。甘いものに目がない自分としては、嬉しい貰い物である。どう開けていいのか苦戦をしていれば、兼続に箱を穫られてしまった。
「兼続。……くれたのではなかったのか」
「石田殿が開けるのに、苦労しているからいけないのでしょう。ほら、これで食べれますよ」
ぱき、と紙製の箱の上部を取り外し、中にある銀色の袋を破けば、一帯に甘い香りが広がった。貰おうと手を伸ばすが、ひょいと後ろ手に回して隠されてしまった。
「なんだ、まだくれないのか」
「いや、食べ方に少しルールがありまして」
「フン……守るから早く寄越せ」
「ここでやると反感を買いますね……仕方ない、場所を変えますか」
「なんだそれは、可笑しいではないか! って、ちょっと待て兼続!」
腕をひっつかまれて、俺の屋敷へ一直線だった。制止もまるで訊かなくて、落ち着いたのは手短な部屋に着いた時であった。
「食べたかったんじゃ、なかったのでは?」
「そ、それもそうだが、そんなに面倒な食い方をするならば止めていたぞ!」
「もう、いいですよ。早く座ってください」
畳に向かい合って座れば、兼続は銀の袋から棒状の甘味を取り出した。まるで団子の串のような代物である、食べれるのか不安になるが甘い香りが食べ物だというのを証明してくれていた。
「はい、口を開いてください」
「? わかった」
あ、と口を開けば茶色をした方を突っ込まれた。舌で舐めると酷く甘い味がする。美味しい。食べたい、と口を閉じようとすれば指を突っ込まれて閉じられなかった。
「にゃに、すりゅのだ!」
「……某が食べ始めてからにしてくださいね」
そう言うと兼続は、俺の口に差し込まれたお菓子の反対側を口に銜えて、ぽりぽり音をたてて食べ始めたのだ。いつの間にやら閉じられないように挟まれていた指は取られており、ぱき、と折って一人で食べようとするものの、顔を腕で押さえられて動かせず。どう反応すればよいのか悩んでいる内に、兼続は菓子を食べきっていた。
「…………、離せ!」
肩口を
どん、と押せば今度は離れてくれた。が、何故だか笑みを浮かべたまま、部屋から出て行こうとしなかった。
「もう一本、食べますか?」
「フン……美味かったから貰うが、普通に食わせろ」
「普通? あれが、普通らしいのですが」
「あれのどこが普通だと言うか!」
「あれ? ちゃんと言って貰わないと某にはわかりません」
相変わらずの表情のまま、兼続はもう一本新しい菓子を出していた。
「………な、なんでお互い口に銜えながら食べなくてはいけないのだ!」
「あぁ、そういう規則なんですよ」
「そんな訳な、おい兼続なんで一人で食べているのだ……って、そのまま寄ってくる、」
ぱき、と細い菓子が折れる音と共に兼続の綺麗な顔がまたも正面にあって、綺麗だと見蕩れてしまったなど口が裂けても言えやしない。
作品名:二次創作オールジャンルの短い話のまとめ。(永遠に執筆中) 作家名:榛☻荊