俺は君を君で殺す
俺は君を君で殺す
俺の頭を占めるのは、いつだって平和島静雄という男である。
忌々しいあの男を、どうしたら殺すことが出来るだろう。
それが、目下の課題。
ナイフも、銃も、彼を殺す手段にはなり得ない。
ならば、どうすれば彼は死ぬのだろう。
俺は、考えて、考えて、考えて。
そして、一つの結論に辿り着く。
あはは!なんて簡単なんだろう!
可笑しくて可笑しくて、笑い死んでしまいそうだ。
そう、彼奴を殺すなんて簡単だ。
凶器はいらない。
平和島静雄を殺すのは、ほかの誰でもない。
目には目を、歯には歯を。
平和島には平和島静雄を。
ハンムラビ法典を侮ってはならない。
これは真理だ。
「俺はやっと彼奴を殺す術を手に入れた!」
あはは、あはは!あははははは!
笑い声は新宿の喧噪に飲まれ、誰の耳にも届かなかった。