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Your smile

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目覚めて。
すぐ傍に優しい顔があったから驚いた。


「おはよ」
「…はよーごぜぇやす……」


寝ぼけた口調で答えたら、
あんたは薄い笑みを浮かべて言った。


「君のそんな声聴けるの、すごいね。特権だね」
「野郎の掠れた声が好きなんですかィ?」
「野郎は野郎でも君だけね」
「俺限定?」
「そ。君限定」


なんでもそうなんだ。
限定品に弱いんだよ…と言ってあんたはまた笑う。
だから俺も言い返す。


「俺の方がすごいっすよ」
「へ?」
「旦那のそんな顔、見れるんだから」
「そんな顔ってどんなよ」
「……こんな、です」


言いながら手を伸ばして頬を撫でた。
ざらつく髭の感触もふわふわ天パも俺には心地良いもので。
しかしそれはさっきあんたが言った通り、誰でも良い訳ではない。
あんただから感じるんだ。
あんたにしか感じねーんだ、この気持ちは。


「なにー? 朝から積極的じゃん」
「別に誘ってねーですが」
「いーや誘ってる」
「違うって……」
「銀さんにはそう感じるの」
「んっ……」


にやっと子どもみたいな笑みを見せたと思ったら
次の瞬間には奪われてた。


「ん…ぅ、ン……」


甘い舌がねっとりと口内を嬲る。
あんたはキスが巧い。かなり巧い。
それだけで馬鹿みてェに感じてる俺がいる。


「だん…な……」
「なに?」
「どうして……」
「え?」
「どうしてそんな優しいんですかィ…」


底抜けに、確実に。
俺だけ狙ってくるように、その優しさが胸を打つ。
どうしようもなく切なくなる。


「……沖田くんだから」


数瞬の惑いも見せず、言う。
その微笑みを俺だけのものにしたいと想った。


「優しくしないと離れてっちゃいそうだから」


悲しみの色に染まる瞳。
俺で癒したいと想った。


「……そんなことねーですよ」
「うん」
「俺の方があんたに堕ちてる」
「うん」
「あんたが……欲しいですよ」
「うん……」


知ってる、わかってる。
でも怖くなるね……とあんたは言う。


「失くしてきたもの、多すぎたかも。
 だから今、この手にあるものは絶対失くしたくないのかも」
「大丈夫…です……」


ちっぽけな俺にはこれしか言えねェけど。


「死にませんよ。あんたより先には」


それだけは守るから傍に居させてくれ。


「……そっか」
「へい」
「うん、ありがとう」
「旦那……?」
「……ありがとう……」


ぎゅっと抱き締められる。
細かな傷がついたその腕に抱き留められる。
温い愛情の奥から伝わるあんたの気持ち。
抱えて今日も、この命に感謝する。


「幸せです」


だから俺も伝えよう。
言葉という形に残して、あんたに。


「旦那に逢えて幸せです」


優しすぎるあんたに。
今にも泣きそうな顔で。


「……すげぇ……幸せです」






作品名:Your smile 作家名:kei