お日様だけが知っている
「イギリス!今日は絶対一緒に寝て欲しいんだぞ!」
「まーた怖い話読んだのか?眠れなくなるんだから読むなって」
「だって知らないままだともっと気になるじゃないか」
だから早くと袖をひっぱるアメリカに、しょうがないなと苦笑するイギリスの一言が、もう何度繰り返したかわからない問答のお決まりの結末だった。
すり、と胸に頬をよせる。自分より少し低い体温と、ゆっくりの鼓動。
――怖いんだけどさ。でもこうすれば絶対一緒に寝てくれるじゃないか。
こちらに来ているときでも、イギリスはいつも忙しそうで。最近はアメリカが寝る時間になっても、机に灯りをともして書き物をしていることが多かった。
――せっかく来てくれたのに。
それじゃあつまらないとは、無理に仕事を詰めて来てくれていることがわかるから言えなくて。
イギリスはアメリカの大事な人だ。でもそれはイギリスや自分の国民にとっても同様で、世界に冠たる大英帝国の影響力を考えれば、世界中の人々にとって同じことであるとも言えた。それでも生身のイギリスを独り占めしたい、と駄々をこねるにはアメリカは少々成長が早すぎた。
でも一緒にいたいのだ。昼間のイギリスはお仕事に貸してあげてもいいけれどせめて寝るときくらい。
「すぐ寝ちゃうけどさ」
見上げれば聞こえてくるのは安らかな寝息。
疲れがたまっているのか、はたまた生来の寝付きの良さなのか、イギリスはたいていアメリカよりも先に寝てしまう。互いにおやすみとキスを送りあって眠りについたときも、子守歌を歌ってくれると約束してくれたときも。大好きなイギリスの声に身を任せて眠りの波に身を任せる心地よさはアメリカはついぞ知ることがなかった。たいていアメリカがその波に浚われる前に柔らかな歌声は途絶えてしまうので。
もっと話がしたい。
二人だけのこの時間がもったいない。
嬉しくてなかなか寝付けないアメリカはいつもそうしてイギリスにおいて行かれてしまうのだけど。
そっと手を伸ばして、小さく開かれた唇に触れる。柔らかな感触とかすかに漏れる暖かい吐息にアメリカはうっとりと目を細めた。
イギリスが、アメリカのそばで眠ってくれることが嬉しい。アメリカを、イギリスの隣で眠らせてくれることが嬉しい。
――どうしてかなんてわからないけど。
「まーた怖い話読んだのか?眠れなくなるんだから読むなって」
「だって知らないままだともっと気になるじゃないか」
だから早くと袖をひっぱるアメリカに、しょうがないなと苦笑するイギリスの一言が、もう何度繰り返したかわからない問答のお決まりの結末だった。
すり、と胸に頬をよせる。自分より少し低い体温と、ゆっくりの鼓動。
――怖いんだけどさ。でもこうすれば絶対一緒に寝てくれるじゃないか。
こちらに来ているときでも、イギリスはいつも忙しそうで。最近はアメリカが寝る時間になっても、机に灯りをともして書き物をしていることが多かった。
――せっかく来てくれたのに。
それじゃあつまらないとは、無理に仕事を詰めて来てくれていることがわかるから言えなくて。
イギリスはアメリカの大事な人だ。でもそれはイギリスや自分の国民にとっても同様で、世界に冠たる大英帝国の影響力を考えれば、世界中の人々にとって同じことであるとも言えた。それでも生身のイギリスを独り占めしたい、と駄々をこねるにはアメリカは少々成長が早すぎた。
でも一緒にいたいのだ。昼間のイギリスはお仕事に貸してあげてもいいけれどせめて寝るときくらい。
「すぐ寝ちゃうけどさ」
見上げれば聞こえてくるのは安らかな寝息。
疲れがたまっているのか、はたまた生来の寝付きの良さなのか、イギリスはたいていアメリカよりも先に寝てしまう。互いにおやすみとキスを送りあって眠りについたときも、子守歌を歌ってくれると約束してくれたときも。大好きなイギリスの声に身を任せて眠りの波に身を任せる心地よさはアメリカはついぞ知ることがなかった。たいていアメリカがその波に浚われる前に柔らかな歌声は途絶えてしまうので。
もっと話がしたい。
二人だけのこの時間がもったいない。
嬉しくてなかなか寝付けないアメリカはいつもそうしてイギリスにおいて行かれてしまうのだけど。
そっと手を伸ばして、小さく開かれた唇に触れる。柔らかな感触とかすかに漏れる暖かい吐息にアメリカはうっとりと目を細めた。
イギリスが、アメリカのそばで眠ってくれることが嬉しい。アメリカを、イギリスの隣で眠らせてくれることが嬉しい。
――どうしてかなんてわからないけど。
作品名:お日様だけが知っている 作家名:らい@