お日様だけが知っている
懐かしい夢を見た。
今でも抜けない、寝る前につい苦手な物を見てしまう癖。それはイギリスといるときに顕著に出てしまうことに彼は気づいているだろうか。
薄く開いたカーテンの隙間からは薄闇に光る星々が見える。まだ朝は遠いらしい。
「……あめりか……?」
「まだ大丈夫。……おやすみ、イギリス」
腕の中で鈍く光る金色に、そっとついばむようなキスを落とした。
「……ん…」
もぞもぞと収まりのよい場所を求めて身じろぎした身体が、すりとアメリカの胸に額を寄せて動かなくなる。
自然にこぼれる微笑みを隠すことなく腕の中の小柄な身体を抱きしめて、乱れたシーツを肩まで引き上げた。
イギリスが自分の隣で眠ってくれることが嬉しい。自分を眠るイギリスのそばに置いてくれることが嬉しい。
イギリスの安心できる場所でいられる自分が誇らしい。
幼い頃は掴みきれなかった想いは、今はしっかりとこの胸に宿る。
けれども、今でも夜毎の星々に祈る願いは変わることなく。
――明日は、起きているイギリスを独り占め出来るかな?
答えは、明日上るお日様だけが知っているのも変わらぬ事だ。
作品名:お日様だけが知っている 作家名:らい@