夢を見たあとのはなし
理由はなんとなく理解している。
直前まで見ていた夢が、最悪だったからだ。
イライラした気分で体を起こすと、静雄の隣には幼い少女がすやすやと寝息を立てていた。
その姿を見て、不快感が和らいでいくのが彼自身、自覚することが出来た。
幸せそうな笑顔で眠る姿に思わず手が伸びる。
触れるのに恐怖心を抱かなくなったのは、少し前。
出来るだけ優しく、割れものに触れるように頭を撫でる。
「ん…」
頭を撫でられた少女は、むずがるように声を出す。
まだ眠気が残っているのか、体を丸めていく。
その姿が可愛くて、静雄は知らず笑顔を浮かべた。
作品名:夢を見たあとのはなし 作家名:香魚