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あなたにサラダ

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「あなたにサラダ」


side:KAITO


夕方のスーパーは、夕飯の買い物に来ている奥様方で、ごった返している。しかも、タイムサービスやら、お総菜の値下げやらで、殺気立った空気すら漂っていた。

そんな、百戦錬磨の主婦達に混じって、俺はタイムサービスの卵を目指して、走る。


いや、卵くらい、ちゃんと買い置きしてあるけど!
今日は特に、卵を使うから。


マスターの為に、ミモザサラダを作るから。


昨日、テレビを見ていたマスターが、突然「ミモザサラダーーー!!!」と、叫びだした。
何事かと思ったら、ドラマの中で、食卓にミモザサラダが上ったのだという。

その後、延々2時間に渡って、ミモザサラダについて熱く語られたので、相当好きなんだろう。


どうやら、マスターは、あの黄色と白の組み合わせが、好きみたいだ。


正月のお節でも、錦卵にやたらとこだわっていたので、「錦糸卵ですか?」と聞いたら、延々3時間に渡って、錦卵について熱く語られた。

その割には、目玉焼きより厚焼き卵が好きなんだから、よく分からない。


人混みをすり抜け、タイムサービスの卵(お一家族様一パック)をつかみ取る。
素早く卵売場を離れると、青果コーナーに取って返した。

レタスとトマトとキュウリをカゴに放り込み、ついでに人参と大根(1/2)も買っておく。

ごった返している鮮魚コーナーはパスして、精肉コーナーへ。

マスター曰く、「カリカリベーコンの乗ってないミモザサラダなんて、青の入ってない三色ボールペンみたいなもの!」だそうで。


・・・分からない。本当に、マスターの例えは分かりづらい。


精肉コーナーで、ベーコンをカゴに入れた。
これで、今日の目的は終了。夕飯のカレーは仕込んであるし、後は、マスターが帰ってくるまでに、サラダをつくるだけ。

まっすぐレジに行こうとして、ついうっかり、冷凍ケースのほうに視線を向けてしまう。


そこには、「アイスクリーム全品4割引!!」の文字が。


え、ちょ、マジですか!?


ああああでも、マスターに断りなく、勝手に買えないし!

で、でも、ミモザサラダ作るから、一個ぐらい・・・

い、いや、早く帰らないと、マスターが帰ってきてしまう!

でも、あの、4割引・・・

う・・・うわああああああああああああああん!!


カゴを両手に抱えると、全速力でレジに向かった。



帰ってから、早速卵を茹でる。
野菜を洗ってザルに入れ、ベーコンを短冊切りにした。


そろそろ、マスターから、帰宅を知らせるメールが入るはず。


マスター、喜んでくれるかな。
お願いしたら、ダッツ買ってくれないかな。一個でいいから。



茹であがった卵を、白身と黄身に分け、裏ごしする。
マスターからのメールは、未だこない。


今日は、残業なのかなあ。それだったら、早目に知らせてくれればいいのに。


レタスをちぎっていたら、携帯がメールの着信を知らせた。


「はいはーい。全くもう、遅くなるならなるで、言ってくれないと・・・」

携帯を見ると、案の定、マスターからのメールだった。


件名:いま

本文:から帰りますスーパーでアイスがよん割引きだたダツ買い占めた


っ!!


相変わらずメールが読みづらいとか、ダツじゃなくてダッツですとか、何で小さいつを入れないんですかとか、他にも色々・・・色々・・・


携帯を閉じて、立ち上がる。


さ、急いで、ミモザサラダを作らないと。

もう余所では食べられなくなるくらい、美味しく作りますからね、マスター。


終わり
作品名:あなたにサラダ 作家名:シャオ