その、密やかな
夏の日差しが視界を歪める様に暑い日。
恋人からの突然の質問に、折原臨也は思わず目を丸くさせた。
「どうしたの、突然」
「いえ、なんとなく…。すみません、気にしないで下さい」
質問の主である恋人の竜ヶ峰帝人はそう言うと、申し訳なさそうに視線を逸らした。
そうだなぁ…、臨也は軽やかに呟き、少し考えた後に
「君に恋をするかな」
と、徐にそう付け加えた。
「君に目一杯、恋をして互いに愛し愛されつつ地球最後の日を迎えるよ。君と二人で最後の時を迎えられるだなんて!なんてロマティックで素敵な終末なんだろうね、帝人くん」
それじゃあ、今はまるで目一杯、恋をしてくれてないみたいじゃないか。と、思いつつも大袈裟で身勝手な…けれども、愛しいその言葉達に少年の心はざわめく。
「最後の日まで臨也さんと一緒だなんて…、嬉しすぎて吐き気がします」
シニカルな物言いとは裏腹に、鮮やかに染まった帝人の白い頬に臨也の緩やかな視線が注がれる。
「帝人くんは相変わらずだなー。でも、そんな帝人くんも愛してるよ!」
「これ以上、愛されても迷惑です」
「あらら、ひどい」
ね、帝人くん。急に声音を変えて臨也は帝人に問いかける。
「愛してるよ。ねぇ、帝人くんは?」
いつもの揶揄う様な感じとは一線を画する、少し重くて真面目な声。
その声に胸が高鳴るのを感じながら、帝人は密やかに呟いた。
「…察してくださいよ」
(恋人同士なんですから!)