盲目の宇宙飛行士
昔、小夜に光を見せようとやっきになっていた頃に彼女は確かに満面の笑みで言ったことがある。
「光ならもう見つけたの!」
そうだ!光はもう「ここ」にあるじゃないか!自分も光を見つけられた!
ピピピ
「時間だね」
「わくわくするわ~」
時計のアラームを止めると、その時がやってきた。
一筋の光が、まるで不死鳥のような瞬きで夜空を彩り、一瞬で消えていった。
この不死鳥は昇平が大学の卒業研究で制作した人工衛星だったのだ。
「光ったかな?」
「光ったわよ」
しかし、不死鳥の光と言えど二人の瞼を透過はしなかった。
♪きーみーがっ好きでー↑
「お!電話だ」
昇平の携帯が鳴った。電話をしている彼は徐々に高揚しているのが小夜には分かった。
昇平は電話を切ると満面の笑みで小夜の方をみる。
自分はあの日の小夜みたいな満面の笑みが浮かべれるようになった。それは彼女が「光」を教えてくれたからだ。その「光」こそ自分が探し求めた夢だったのだ。
僕らは知った。
互いに照らしあう、まばゆいばかりの星があることを……。
眼には見えないけど。