【APH】小さな恋のおにぎり【亜細亜リトルブラザーズ】
「いきなり湾が俺らに物をくれるとか、何か怖い的な。」
ある日の昼下がり、香港と韓国の目の前にはいかにも美味しそうな食事が広がっていた。
「もー、失礼ねー!大丈夫よ!なんも変なものは入れてないよー!…まあ何が入ってるかは教えられないけどね。」
「Sorry,俺いま腹壊してるからお前にあげるわ」
「ぎゃあああ!いらないんだぜ!」
台湾は、ぎゃんぎゃんとわめいて逃げる二人の襟をつかみ、再びテーブルの前に座らせる。
「もー、本当に変なものは入ってないよー!」
そして彼女は少し照れ臭そうに、
「日本さんに料理を作ることになったから味見をしてほしかったの!」
と言った。
「へぇー、日本さんに料理、ねぇ…」
「うん。いきなり食べてもらうのは不安だからね、二人に先に食べてもらおと思ったんだよー。」
そう言って台湾はお弁当箱の中からおにぎりを取りだし、二人に手渡す。
「これ、キムチ入ってるんだぜ?」
「入ってないよ。あんたじゃないんだから!」
台湾が早く食べろと急かすので、二人は恐る恐る、少しいびつな形のおにぎりを口に運ぶ。
「…どう?大丈夫?」
「あー…そうだな。味は合格点…?」
「湾のことだから、砂糖と塩間違えてるとかいう展開だと思ってたんだぜ。」
台湾は香港のほめことばに安堵しつつ、韓国の頭に軽い拳骨を食らわせる。
そして弁当箱を即座に片付けて、「じゃ、行ってくるよ!」と言い残して嵐のように去っていった。
「日本さんにお弁当…ねぇ。」
「あれは恋する乙女の目だったんだぜ!ちょ、見てこよ…」
「人の恋路を邪魔するのはBad thing…的な?つか邪魔なんてしたら今度こそ湾に殺される。」
「…まだ俺生きていたいんだぜ………。」
そう言って韓国は、一度浮かせた腰を再び椅子に落ち着かせて、先程殴られた頭頂部をそっとさすった。
【終】
作品名:【APH】小さな恋のおにぎり【亜細亜リトルブラザーズ】 作家名:千草