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生きていていい?

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安形を色で表すならば、花で表すならば、言葉で表すならば、何だろう?
考えても思い浮かばない。ぐるぐる、いろんな単語が思い浮かんでは消える。
安形の顔が目の前にあって、必然的に瞳が目の前にある。息もある。口もある。
一瞬、安形の睫毛を啄んでみようかと思ってやめた。どうせだったら眼球なめたいと思って。嘘だけど。
だから、セックスしたくない、と安形の胸を押すが 彼は動じない。
なんで嫌なの?と安形は問うがオレはひたすら拒否する。いやだ、またこんど、やめろ。
すると、安形は決まってこう言う(オレはそれが聞きたくて拒否を続ける)

「なんで?俺たち将来結婚すんだろ」
「あ、安形ってこーいうこというんだ」

だからといって、オレのシャツのボタンを外す理由にはならない。
ぷちぷちと、なんのムードもなく、姪っ子の着替の手伝いでもしているかのような安形の立居振舞がムカつく。
なーんか、もっとがっついて欲しいなあ、なんて、思う。
鍵のかかってない生徒会室のソファに、力強く押し倒されたときは 安形もやるじゃんって思ったんだけど、
それからの失速ぶりが半端じゃないですよ。
自信なくすよ。ね、安形。

「あーあ、安形って童貞だって思ってたのに、なんか慣れた手つきじゃん」
「ま、オレ童貞だけどな」
「うっわー、それ聞きたくなかったかなぁーオレ」
「大丈夫大丈夫」
「一番最初が男ってハードル高すぎないかい?」
「男っつっても、相手はミチルだろ?」
「残念ながら、ミチルの性別は男なんだよね」
「へーきだろ、こんなもんぶち込めばいいんだろ」
「あのねー!ぶちこむんなら予め言ってもらわないと困るわけ!!」
「だから今言ってるだろ」
「今じゃ遅いんだよねー多分」

そう言うと、安形はぱっとオレを押し倒していた手をのけて、
はあと大きくため息をついた。
安形の顔が一気に我に返るから、オレまでびっくりしてしまった。
じっと、安形がオレの顔を見つめる。離さない。安形の黒目に自分の顔が写っている。
余裕が無い、我乍ら物欲しそうな顔してるじゃん。そんなオレもカッコいいけど、ものすごくカッコ悪い。
安形が何を考えているのか分からない。全くの無表情だ。

「なんかめんどくせーな、やめっか」
「はあ!?」

オレの腰の部分に乗っていた安形は、半分だけ外していたベルトを締めた。

「ここまで来て!?やめんの!」
「やめる」
「やろうって言ってきたの安形じゃん!」
「だってなんかめんどくさくねえかぁ?」
「はあー、ま、いっか」

本来ありえないことだけど、安形なら仕方ないかなと思う。
安形は ぼさっと、オレにカーディガンを投げつけて、それから大きく伸びをした。
生徒会室の窓をあける、冷たい風と外部活の奴らの声が入ってくる。
ぷちぷちと、自分でボタンを止め直す作業が虚しすぎる。
投げ捨てられたカーディガンを着て、ソファから立ち上がりながら髪の毛を整える。
じゃあね、と安形に背を向けてひらひらと手を振る。今日は一緒の帰るのやめよ。
生徒会室から出て行こうとすると、後ろから安形に抱きつかれた。
なにするんだよ、抵抗しても安形の力が強くて動けない。両手首をつかまれて、肩に顔を埋められる。
ふわりと少しだけ安形の匂いがした。少しどきりとした。


「ミチルの腰案外細せえな」
「何処触ってんだよ」

オレの両手首を片方の手で握り、もう片方の手でオレの腰をなぞる。
カーディガンとシャツの下に手を入れて、背中を触る。背骨をひとつひとつなぞられる。
ドアに追い詰められた。生徒会室のドアには安形がさっき鍵を締めた。両手がふさがれているオレには開けられない。
ドアノブが腹に食い込む、痛いと声をあげたら安形の手に力が入った。
「窓開いてる」「いいじゃん見えたって」「てか磨りガラスから人影みえてると思う」「細かいこと気にすんなよぉ」
そう言って笑う。
あーこいつまじで変態。

「今更むらむらしてきた」
「うわこいつ駄目だ」
「やっぱミチル一回だけしようぜ」
「だめだめ」

正直、もうシャツのボタンを外すのは、嫌だ。
安形が、外して、くれるなら別だけど。


***

部室のドアのガラス磨りガラスじゃなかった
この小説内だけ磨りガラス設定でお願いします笑
作品名:生きていていい? 作家名:月渡りんこ