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心理ゲームをしてみました其の2

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「アキラ、おまえこれ…」

「違うから、これ心理ゲームだから、ゲームよゲーム」


アキラが何気なく机の上に置いていたレポート用紙を覗き込んだアキラは、何とも言えない表情でアキラを見た。
そこには2列4行に区切られたマスにメンバーの名前が書かれ、同じくその下には心理テストの結果と思われる内容がワープロ打ちされていた。


「育てられたい…って、おまえまで俺の事年寄り扱いするのか?はぁ……」

「違うからね、本気で落ち込まないでユゥジくん」

「まぁどうせあいつらから見たらおっさんだよな、ハハ……」

「だから、心理ゲームだから!お遊びだからねっ?」


ユゥジはレポート用紙を折り目の通りに四つ折りにすると、そっと机の上に戻した。その仕草たるや何とも哀愁漂う感じに、アキラは次なるフォローの言葉が見つからない。


「ユゥジくん、どちらかというとお兄さんぐらいには見たことあってもお父さんはないからほんとよ?」

「お兄さん…か、それもそれで微妙だな。大体普段の態度からしてアキラ、お前俺には遠慮してないか?」


そう言われてしまうと、即座に「そんなことない」と否定できない自分にアキラは思わず微妙な表情を浮かべてしまった。確かに初対面の時の印象も含め、ユゥジは年上で面倒見が良いという印象がついてしまい、それを保ったまま今に至っている。


「だってほらユゥジくんはつっこみ役じゃない?」

「ボケが多すぎるんだ、このメンバーは」

「確かにそうだけど、律儀に応対するユゥジくんはすごいと思う!」

「それって誉められてるのか?」

「褒めて、るわよ!尊敬もしてる!あと」

「あぁああもういい、分かった。お前の努力は十分伝わった」


椅子に座りこんで、手のひらを軽く振るユゥジの前に立っているアキラは、まるで教員室で説教を受けているような構図だと思ったが勿論それは口に出さない。
どうしたものかと、次の言葉もしくは新たな話題をと脳内をフル稼働させているアキラを余所に、顔を僅かに伏せていたユゥジがぱっと視線を上に向けた。それに釣られるようにアキラはユゥジの方を見る。


「あれだよな、育てるって別に親的なもんだけじゃないんだよな?」

「……ん?」

「例えばアキラ、お前がそういう趣味だとして」


その言葉とほぼ同時に立ち上がったユゥジは、アキラの手首をそっと掴み少しだけ屈んで出っ張った骨にキスをした。


「なっなななにユゥジくん…っいたあ」


人慣れしていない野良猫が驚いて飛び上がるようして背後の壁にぶつかったアキラは、後頭部を擦りながらその手に起きた出来事に目をきょろきょろと動かす。


「おいおい、そこまで驚くこと」

「驚きます!いきなりこんなことされたら」

「だから飼育ってそういう意味だったらなって試してみたんだけどな……」

「ユゥジくん!!」

「怒るなって、」

「怒ります!」


アキラが肩を小刻みに揺らして怒る様に、ユゥジは思わず噴き出した。あまりにテンプレートのようなその反応に我慢できなくなったのだ。そんなユゥジの様子に、アキラは怒るのをやめて一緒に笑い出してしまった。


「もうユゥジくん、ああいうことはびっくりするから…やめてね?」

「まぁちょっと大人げなかったと思ってはいるよ」


「……反省してください」

「反省ね、」


ユゥジは教官モードにすっかり戻ってしまったアキラに肩を竦めてみせてから、悪戯っぽい微笑みを浮かべるとすっと腰を屈め、アキラの耳元に口をよせた。




「おまえのそういうトコ、やっぱ好きだぜ」



これ以上ないぐらいの赤面に口を半開きにしている間抜けなアキラを残して、ユゥジは満足そうな表情でその場を後にした。
ある平和な一日、昼休みの出来事。