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捻くれ者

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「緑?」

 名前を呼ばれたって、返事なんかするもんか。何で青はいつもいつも僕を気にかけるのさ。ていうか、僕の名前は緑じゃないし。

「緑ー?出ておいでー?」

 絶対絶対、ここから出てやるもんか。同じ見た目の奴に好かれるなんて、何か嫌。
 透明になったって、どうせ青は僕を見つける。なら、もう隠れるしかないじゃないか。

「あ、いた。良かったー…」
「良くない。別に僕は青に会いたい訳じゃない」
「ケド、絶対に逃げないヨネ?僕が見つけられる場所にシカ隠れないヨネ?」

 いっつもこう。何で青は優しい口調で僕を追い詰めるの。解ってるはずなのに。

「解ってるでしょ。僕が逃げない理由」
「え?知らないケド?」

 どうして。青は勘が良いし、僕は誤魔化すのも下手だから解ってるはずなのに。何でとぼけるのさ。
 そんなに、僕に「好き」って言って欲しいの?絶対に言いたくないのに、何で青は言わせようとするの。

「何で逃げないノ?」

 やっぱり、青はこう。僕が言いたくない理由だって、絶対知ってる。けど、言わなきゃ青はずっと笑いながら僕に聞いてくる。口角が上がってるだけで、本心では追い詰められた僕を嘲笑しているのに。その嘲笑に逆らえない僕は、やっぱり弱いのかな、って。

「好き…だから。どんなに隠れても、見つからないように透明になっても、何時間かけても探してくれる青が好きだもん。だから僕は青に見つかる場所に隠れる」

 また、言わせられた。何で青は諦めてくれないの。僕が好きって言えないのは、長い間生きる内に、きっと青以外に好きな人ができちゃうからなのに。心の底から青が好きなら、恥ずかしくも無いのに。心のどこかで、僕は青を信じてないから。他の人を好きになっちゃいそう、なんて弱さがあるから。
 それなのに青の傍にいたいなんて。青に見つけてもらいたいなんて、ワガママだと思うけど。

「そうだよネェ?結局、僕の事好きダカラ隠れるんデショ?どうせ僕以外には見つけられないのにネェ。緑は僕から離れるフリして、失敗して僕と2人っきりになるんデショ」

 そう。どうせ僕は頭が悪くて行動も単純で。ちょっと考えればすぐに見つかっちゃうのに。それなのに隠れて青と2人っきりになるなんて。
 青に「好き」って言わされるのは嫌いなのに青が好きだなんて、すごく人気なアイドルに対してそんなワガママができるなんて、僕はすごく幸せな奴だと思うけれど。青のファンに殺されちゃってもおかしくないくらい。そんなに幸せなのに、その幸せを素直に喜べない僕は、なんて捻くれてるんだろう。
作品名:捻くれ者 作家名:ミコト