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Second to None その後

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それからアルフレッドは、身寄りが居なかったことからアーサーが今も残る研究所近くの墓地に埋葬された。葬儀には数年前に消えた若きエンジニアの突然の死、ということで生前アルフレッドが関わった多くの企業の関係者や研究所の同僚らが駆けつけた。皆が同じように嘆き悲しみ、けれどその日アーサーは泣かなかった。菊が二度目に死んだ日にアーサーは泣きつくしてしまい、それ以上に流す涙を未だ体が生産できていない状態であった。むしろ泣くという行為に拒絶していたのかもしれない。それは思っていた以上に、心に堪える行為であったとアーサーは知ったばかりだった。

そしてアルフレッドの件が落ち着くと、アーサーは秘密裏に保管したままの菊の処分にとりかかる。菊は二度焼かれた。一回目は通常の火葬で、その時菊の体内に残っていた人としての器官をできるだけ焼ききって。二回目は残った鉄などのパーツを溶かすために、より高温で焼かれた。溶かされドロドロのマグマのようになった菊を構成していた鉄は、アーサーによって作られた二つの型に流し入れられ、二輪の花になった。一つは菊の花。もう一つは薔薇の花。両方が冷め、固まり、錆びないよう加工を施された後、鉄の菊花は菊の遺言通りアーサーの手によりアルフレッドの墓標の横に埋められた。そして薔薇の花は、アーサーの研究室で硝子ケースに入れられ保管されることになった。アーサーもどうしてそうしたのか上手く説明できないでいたが、誰もそれをアルフレッドが最後に犯した罪の破片だと気づくはずは無い。だが成長もしない、枯れない、物珍しい鉄製の薔薇の造花は、アーサーの遅すぎる自覚の象徴として永久に咲き続けることだろう。
作品名:Second to None その後 作家名:こまり