Second to None その後
そしてアルフレッドの件が落ち着くと、アーサーは秘密裏に保管したままの菊の処分にとりかかる。菊は二度焼かれた。一回目は通常の火葬で、その時菊の体内に残っていた人としての器官をできるだけ焼ききって。二回目は残った鉄などのパーツを溶かすために、より高温で焼かれた。溶かされドロドロのマグマのようになった菊を構成していた鉄は、アーサーによって作られた二つの型に流し入れられ、二輪の花になった。一つは菊の花。もう一つは薔薇の花。両方が冷め、固まり、錆びないよう加工を施された後、鉄の菊花は菊の遺言通りアーサーの手によりアルフレッドの墓標の横に埋められた。そして薔薇の花は、アーサーの研究室で硝子ケースに入れられ保管されることになった。アーサーもどうしてそうしたのか上手く説明できないでいたが、誰もそれをアルフレッドが最後に犯した罪の破片だと気づくはずは無い。だが成長もしない、枯れない、物珍しい鉄製の薔薇の造花は、アーサーの遅すぎる自覚の象徴として永久に咲き続けることだろう。
作品名:Second to None その後 作家名:こまり