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【腐向けAPH】言ってあげない【香氷】

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昼休み、僕たち二人は人のいない屋上でお弁当を食べる。
どっちから言い出したのかなんて忘れたけれど、気がついたら日課になっていた。
食事が済むと、並んでフェンスに凭れて空を眺めながら、予鈴が鳴るまでとりとめの無い話をする。

「アイス、聞いてる?」
いつものように思考を宙に漂わせていたら、香の声が聞こえた。
はっと気がつくと、さっきまで隣に並んで座っていたはずの香が目の前にいて、訝しそうな眼で僕を見ている。
『・・・ごめん、ぼーっとしてた』
謝りながらさりげなく後ずさりしようとしたら、素早く腕を掴まれた。
その体勢のままじっと見つめられて、顔が赤くなるのを感じる。

『ちょっと、何?痛いんだけど』
「アイスが逃げようとすんのが悪い的な?」
恥ずかしさを隠すように軽く睨んでみたけれど、香には全く効かない。
そのままぐっと引き寄せられて、あ、来る、と思って反射的に眼をつぶった。
――けれど、いつまで経っても予想していた感触はなくて。
恐る恐る薄目を開けてみると、ほんの十数センチの距離に香の顔があった。

「アイス、さっき誰の事考えてた?」
真剣な顔で尋ねられ、また頬に熱が集まるのを感じる。
「俺じゃない奴の事、考えてたんだろ」
心の奥まで見透かされそうな、その眼。
僕の顔がその真ん中に映っていて、何となく顔を背けたくなる。
けど、ここで眼を逸らしたら今度こそ香はゼロ距離まで近づいてくるだろう。
――ついこの間、それを思い知らされたばかりなのだ。

『ノル兄の事・・・考えて、た』
「は、なんで?」
『ノル兄、僕と香が仲良いのが気にいらないらしいんだ。でも僕は二人が仲良くなってほしいから・・・』
と、そこまで言って気付いた。・・・香の口元が笑っている。
『ちょっと、何笑ってんの?!』
むっとして少し語調を強めたら、香がによによ笑いながらとんでもない事を言った。
「いや、アイス可愛いなーって」

『・・・何言ってんの、意味わかんない』
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ嬉しかった――なんて絶対言わないけど。

香の腕が僕の肩越しにフェンスを掴んだ次の瞬間、僕の視界は香でいっぱいになった。