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窒息

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臨+帝


[4巻あたり]
(※非推奨 暑い室内で読むと不快の臨場感がより増します。全くおすすめしません)



池袋の町をうだる暑さの中、涼を求めて点々とする。
ハンズも行った、本屋にも、あとゲームセンターにも冷やかしで入った。
数人の高校生が笑いながらUFOキャッチャーに挑戦しあっている。
目に耳に入ってくる楽しそうな光景、声。
ああ、と伏せた目をふ、と自分の隣に遣る。
もちろんそこには誰もいない。まだ、親友はもどってこないのだ。
冷房のきいた店内に入ればそのことが頭をめぐる。
考えたくなくて池袋の町をうろつけば、汗がふきでる。
暑さを嫌がる身体は自然とまたどこかの建物へと足を進める。

ふらふらと辺りが真っ暗になるまで彷徨いて、疲れはてて帰宅する。
最近は、いつもこうだ。
正臣がいないから。

「帰ろう…」

家に戻っても誰もいない。
いっそイレギュラーな誰かに危機的状況に襲われないものかと一瞬だけ考えて、
気持ちが悪くなってやめた。自分が被害をこうむるなんてごめんだ。

日が落ちてからもまったく熱が冷めないアスファルトは歩くたびにべたべたと靴底を溶かすようだ。
飛び交う羽虫も目障りで、街頭の落とす光すら避けつつさっきの妄想の続き。
上手く切り抜けれるならまだしも、殴られたりされたら嫌だし。
今日に限って思い返せば平和な池袋だった。
平和島静雄は目にしたが、今日は別段喧嘩をふっかけられていたわけでもなく、
ただ暑そうにどこかの建物の中に入っていったのだっけ。

今は帰って汗を流して寝ようと思った。
飲み物が冷蔵庫に目に入った自販機でサイダーを買った。
一口飲んで手放されたボトルの中身はそのまま帝人の衣服に、地面に、勢い良くこぼれていった。

「動かないでね」

正確には、ボトルを取り落とす状況に陥ったのだ。
目の前が真っ暗になって、暑くって、動けなくって。
ああこれは凄く嫌なタイミングで嫌な人に遭遇しちゃったなぁと。

どうしてこの状況でも「動くな」と声を荒らげないのか。
「ねぇ、寂しいんでしょ」
気持ちが悪い。声が出せなかった。
彼は今ファー付きのコートは着ていない。
目隠しとばかりに今自分に被せられているからだ。最悪だ。
熱い上に抱きしめられて凄く凄く気持ちが悪い!
なんとかもがこうとするが両腕がコートごと押さえられている。

「ねぇ聞いてよ帝人君。今日さっきシズちゃんに遭っちゃってさぁ…」

しかも飲み物…。
「あっついからむかつくから殴らせろってさー。本当暑苦しいったらないよね」
サイダーをこぼした服は濡れて気持ち悪いし、早く洗わないとシミになってしまう。

「聞いてないね」
「あ…ついんで、」
ぐるぐる地面が廻っているような気がする。
押さえられている力が緩められたので
「この状態で熱中症とかってなるのかな」
「かなり……笑えないですよ…」
頭がいたい。
吐き気がとまらない。
あ、これはちょっと、
「ごーめんごめん。ちょっとイライラしたからストレス解消に嫌がらせを、と思って」
「……はあ」

ようやく離してもらえて、その場にしゃがみ込んだ。

「最近ずーっとそういう顔」
ようやく顔を上げて臨也さんを見る。
さぞかし嫌味な表情なんだろうと思ったら、違った。
笑っていなかった。

「俺でよければ相談にのるよ?」

泣きたいな、とかそんなに弱ってるように見えるかな、とか。
寂しいって言ったっけ?とか。いつもどってくるんだろうとか早く会いたい声が聞きたい触れたいとか。
色々と頭の中でぐるぐるする考えはまとまらないまま。

膝を抱えて涙を流す僕をずっと、臨也さんは撫でていた。


(終)
作品名:窒息 作家名:さのじ