もしも
「今のような関係を築いていたと思う?」
俺の家に当然のように腰を落ち着けていた臨也が突然そんなことを体育座りの状態で尋ねてきた。
「さぁな。」
「最近ちらっと見たテレビでさ、男女間の友情はありえないってことが証明されたって言ってたんだ。友情だと思っても頭では恋愛で見てるんだって。」
だから、もし俺かシズちゃんが女だったら・・・やっぱり少し違ったのかな。
幻想の世界に浸りこもうとしている臨也をたたき起こすために、俺は一番現実味を帯びていることを言ってやることにした。
「まず手前と俺の間に友情なんてもんが成立してるとは思えねぇ。」
すると、ゆるりと臨也は自分の足元から俺に視線を動かし、同じようにゆっくりと言葉を紡いだ。
「本当にそう思う?出会ってすぐに喧嘩という名の殺し合いを始めて、何だかわけの分からないうちにセフレみたいなことになった俺達だよ?」
「何が言いてぇんだよ。」
「だから・・・・・・何でもない。気にしないで、忘れて。」
体育座りの体勢で丸まってしまった臨也はどうやら不貞腐れてしまったようだ。
「臨也、一つ訂正がある。」
「喋らないで。」
「俺と手前はセフレじゃねぇだろーが。」
「黙れ。」
「つまり、そういうことだろ。」
女だろうと男だろうと、きっと臨也のうざさは変わらないし、この腐ったカンケイも変わらない。
「シズちゃんの変態。」
「その変態が嫌いになれないのは誰だ。」
「ほんと、嫌い・大嫌い。」
男のときも女のときも、臨也に意識向けるのには変わりない。
「で、手前はもし俺が女だったらどうすんだよ。」
「標識やらポストやらを引っこ抜く女はお断りだよ。」