二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

深夜の風景

INDEX|1ページ/1ページ|

 
「はい、正臣」
深夜の作業中、突然マグカップが差し出された。
部屋にいるのは自分の他に一人しかいない。
声のする方へ顔を向けると案の定そこには沙樹がいた。
「まだ起きてたのか?」
「ううん、目が覚めちゃった」
そう言って沙樹はマグカップを手に隣に腰を下ろす。
渡されたマグカップからは、ほんのりと甘い香りが漂っている。
「カフェオレ?」
「そう。コーヒーだと眠れなくなるかと思って」
そう言って沙樹は微笑んだ。


それから少しの時間が経った。
時計の針は2時を指している。
そろそろ作業終えて寝ようか、と隣にいる沙樹に声をかけようとしたその時だ。


突然、足に重みがかかる。
何事かと正臣が目を向けると、そこには沙樹の顔があった。
どうやら眠ってしまったらしい。
正臣の足を枕に、くぅくぅと寝息を立てている。
「沙樹ー、風邪引くぞー」
「ん…」
むずがるような、返事とは言えないような声を漏らす。
さっきまで手にしていたマグカップは、きちんとテーブルの上に置かれていた。
中身は空っぽ。
きちんと飲みほしてから眠りについたらしい。
「沙樹さーん、ほんと風邪引くから起きろ―」
「…」
今度は返事がない。
言葉の代わりに、沙樹は動きたくないと主張するように体を丸めた。
こうなってしまっては、おそらく朝まで目を覚まさないだろう。
選択肢は2つ。
このままここで寝かせておくか、それともベッドまで運ぶか。
細身の沙樹を抱きあげるのは、大変ではない。
けれどこのまま寝かせておいて、久々に寝顔を見ているのもいい気がする。
そんな感情を抱きながら、正臣は沙樹の髪を優しく撫でた。
作品名:深夜の風景 作家名:香魚