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ラボ@ゆっくりのんびり
ラボ@ゆっくりのんびり
novelistID. 2672
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Not That Kind A Girl

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 不思議なものだ、と思った。
 長い長い時間を生きてきたという事実は、ふいに昔を振り返って重ねた日々の多さを目の当たりにしたときに思い知らされる。そうして過ごしてきた一日一日に視線を落としていくと、必ずそこに存在する者の姿に、私は嫌悪を示しながらも心のどこかで安堵にも似た感情を覚えるのだ。大嫌いなはずだった。いや、今でも決して好きなどとは言えない。けれど昔から変わらぬその姿を目にするたびに、例えば子どもが母親に撫でられながら夢の淵へ落ちてゆくように、私の心のどこかがそっと落ち着くのを感じてしまう。それを不思議に思うと同時に悔しいような気持ちも覚えていた。


「おいハンガリー」

「気安く名前呼ばないでよ」

「はぁ!? お前、この俺様が声掛けてやってんのに何だよ!」

「何言ってんの! 誰も声掛けてくれなんて頼んでないでしょー!!」


 顔を見合わせるたびに口喧嘩が絶えないのは子どものころから変わらない。喧嘩の内容が大したことではないことも。
 チッと舌打ちをして背を向けたその姿に思いっきり舌を出してやる。すると頭の上に止まった小さな鳥がふいに私を振り返って小さな口ばしを開いたかと思えば、細く軽やかな鳴き声が、私と、そしてきっとプロイセンの鼓膜を揺らした。はたとプロイセンの脚が止まる。そのまま私を振り返って、子どものころからまったく成長していない笑顔を浮かべて、そして言った。


「こいつ、普段あんま鳴かねーのに。お前ついてるな」


 まるでついさっき喧嘩をしていたことなんて覚えてないようなその物言いに思わず私も笑顔になってしまった。微笑みながら「そうね」と頷いた。