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Call Name

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「え、お前名前で呼んでないのか?」

トムさんと雑談しているときにいきなりそんなことを言われ、はぁ。そうっスけど、と言えば呆れた顔をされた。
なんだ、その反応。
そう思ったのが思いきり顔に出たみたいで、トムさんがよいこらせ、って言いながらベンチから立ち上がった。

「話は変わるが」
「は? はぁ」
「今日は取り立てが全て終わったな」
「そうっスね」
「今は何時だ」
「えぇと夕方四時」
「つーわけで今日は終いだ。ここで解散」
「は?」

じゃ、俺は事務所に寄って帰るわ、と手をひらひらさせてトムさんが歩いていく。あ、お前ちょっと俺が連絡するまでそこにいろよ。って言って。
……意味が分からなかったが、まぁ別に何もすることないからトムさんの言われた通りにすることにした。
ただ、暇だった。
トムさんがいなくなって五分が経過したが、携帯に何の連絡もない。
あと一分こなかったら帰る。
そう思ったときいきなり携帯が鳴り出した。画面にはトムさんの文字。
やっとか、と思いながら慎重に通話ボタンを押す。そしたらいつもの調子でトムさんが出てきたから少し携帯がミシリと鳴った。

「トムさん」
『悪いな、待たせて。あと少し待ってくれるか』
「……トムさん」
『多分あともうちょっとだ、そうしたら来……』
「静雄さん!」

トムさんの言葉に被さって声が聞こえる。
顔をあげればそこには手を振って走ってくる竜ヶ峰が。
え、と思って携帯を見ればもう電話は切れていて、どうやらトムさんが竜ヶ峰を連れてきたらしい、ということに気づく。
……トムさん、ありがとうございます! そう思いながら携帯を直して立ち上がれば軽く息を乱して竜ヶ峰が俺の横に来て笑った。

「あの、トムさんから静雄さんが緊急で僕に用があるらしいって聞いて走ってきたんですけど、どうかしましたか?」

トムさん!?
……これはあれか、トムさんに俺が竜ヶ峰のことを下の名で呼んでないから呼べっていうことか。
用ってお前の名前を下で呼ぶことだよ、なんて改まって言うことじゃないだろ。
……困った。

「あー……」
「はい?」
「まぁ、座れ」
「はい」

俺の横にスペースを開けて座る竜ヶ峰。これがいつもだ。
遠慮してんのは分かってるが、これ結構ショックなんだってことコイツは分かってない。
ふぅ、と軽く溜息を吐いて竜ヶ峰を見れば、どうやら元々俺を見ていたみたいで体を少しビクつかせて窺うように俺を見てきた。
俺は何も言わずに空いたスペースを軽く叩いたけど、どうしよう。みたいに顔色を変えるから、俺は竜ヶ峰の腕を引き寄せて隣に来させた。

「……竜ヶ峰」
「は、はい」
「だからなんで離れて座る」
「あ、あの、隣に座っていいのかな、と」
「だから隣に座れって言ってるだろ」
「あ、あと。横に静雄さんがいると……き、緊張するんです、まだ」

本当にこいつは。
またはぁと溜息を吐けば、竜ヶ峰は少し泣きそうな顔で俺を見る。それが加虐心を誘うってなんでわかんねぇのかな。
俺はサングラスを外して竜ヶ峰の顔を覗き込む。そうすると竜ヶ峰は目に見えて顔を赤くした。
竜ヶ峰が俺の顔を好きだ、と言うのは結構最初から気付いている。
ぼうと俺の顔を見ていたと思って目を合わせたら竜ヶ峰は顔を赤くして逸らすことが多かったからだ。
そして極めつけは、静雄さんて本当に綺麗な顔してますね、とぽつりと溢した言葉を拾ったことだ。
だから顔が見えるようにサングラスを外して竜ヶ峰を見れば今まで以上に顔を赤くして、見ないでくださいと顔を逸らして。そのときの可愛さといったらすぐに押し倒さなかった俺を誉めてやりたいくらいだった(まだキスもしてないのに段階飛び越えて嫌われたらどうすんだよ)未だに俺の素顔(といってもサングラス外しただけなのに)に慣れないらしい竜ヶ峰には見つめるだけで効果的だ。
腰を引き寄せ、口が触れるか触れないかまで顔を近付ける。
あぁ、今だ、な。
顔を逸らそうとする竜ヶ峰の顔に手を当てて視線を絡める。

「し、静雄さ……」
「帝人」
「……あ」
「愛してる」

口付ければ思っていた以上に柔らかくて甘美だ。
気付けば角度を変え何度も口付けている始末。
震える唇を舌でこじ開けようとしたとき、ドンドンと胸を叩かれた。
止める気はなかったが、視界の端でじわりと滲んでいく涙の存在に気づいたとき、俺は慌てて帝人から唇を離した。

「し、静雄さん!」
「な、なんだ」

いつも以上に強い口調で名前を呼ばれて驚けば、帝人は俺を見てから頭を俺の胸に預けた。

「あぁもう卑怯です、静雄さん」
「何がだ」
「こんな公園でキスするなんてなに考えてるんですか」
「悪かった、が。仕方ねぇだろ。可愛いお前が悪い」
「かわっ……はぁ、もう。でも僕は静雄さんが好きだから全部許しちゃうんです。本当に卑怯です…………あと、名前、読んでくれてありがとう、ございます」

俺の小指を掴んで顔を真っ赤にして言う帝人を見て、俺はその真っ赤な頬に口付ける。
だから外! と怒る帝人の声は聞こえない振りをした。

- end -



また名前話。なんかやっちゃいました。
トムさんがだいすきだ!
秋海
作品名:Call Name 作家名:秋海