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もう一度振り向かせたい

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*アニバサ弐1話、筆頭に負けた後の真田です。






甘かった。愚かだった。取り返しのつかない過ちだった。目覚めた後、痛みに呻くよりも先に幸村は己の愚を悔いた。「後に」、「改めて」、「正々堂々」、「正面より」? とんだ思い違いだった、自惚れだった。どうして「次」の可能性があると考えていたのだろう。今まで幾度か決着をつけぬまま退いたからといって、迂闊すぎた。政宗と共闘したことで新たに見えたものは多くあったが、引き替えにかつて見えていたものを忘れてしまっていた。竜は竜のままだった。その眼は憎らしいほどに変わらず、野心と熱に輝いていた。瞼の裏に、六筋の蒼い残光が蘇る。
「ッ、俺は……!」
負けたのだ。
幸村が命を拾うきっかけを作った豊臣軍については佐助から聞かされた。しかしその情報は幸村の心をそよ風ほどにも揺さぶらなかった。
本当に恐ろしいのは豊臣でも敗北でも、ましてや死でもない。政宗が、こちらを見なくなることこそが、恐ろしい。朦朧とする意識の中で最後に幸村が見たのは、離れた場所でこちらに背を向けている政宗だった。幸村ではなく、新たな敵を見据えていた。まるで敗者からは―――幸村からは、もはや興味など失せてしまったかのように。他の一切を無視してお互いだけを見つめ、お互いの動きにすべての力と精神を研ぎ澄ましぶつかっていく、そのときこそが他のどんな戦場よりも心を熱く滾らせる、それはお互い同じだと疑っていなかったのに。この数ヶ月間、そのときを何よりも心待ちにしていたというのに。それが完璧な形ではないにせよ叶ってしまった今、すべて終わったことになってしまったというのだろうか?
いつだって互角だった。少なくとも幸村は、そう思っていた。負けるつもりも無かった。しかしこれほどまでに優劣を分けて別れたのは今回が初めてだった。勝敗は、既に決してしまったのだろうか。政宗にとって、幸村に勝利することは前提であり過程に過ぎなかった。豊臣の介入が無ければ政宗は止めを刺していただろう。政宗は「次」など考えていなかった。あの場で終わらせるつもりだったのだ。もう終わってしまったのだろうか。幸村の中では、まだ終わっていないのに。
―――終わらせたくない。終わらせてたまるか!
「……豊臣軍……」
背を向けた政宗が、見ていたもの。それを倒せば、政宗は再びこちらを見るだろうか。豊臣を倒せば、信玄と謙信も今度こそ憂いなく戦える。きっとそうだ。豊臣を倒せば。そうして、今よりももっともっと強い力を見せつければ、きっと。
幸村は床を飛び出した。信玄の元へ、一目散に駆けだした。



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そして挽回を急ぐ真田へ続く。