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如月ヒメリ
如月ヒメリ
novelistID. 13058
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今日のラッキーアイテムは、

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『続いてはおは朝占-い!!・・・』
意味も無くテレビをつけると、キャスターの明るい声が部屋に響いた。
あー、これいつも真ちゃんが見てるやつだ。
そんなことを思いながら画面を眺めていると、一位とビリは同時発表とのこと。
別に見ようと思っていたわけではないけど、今日の真ちゃんのご機嫌もこれしだいといっても過言ではない。見といて損はないよね。ということでまあ、暇だし?
『一位は・・・、』
テレビから流れた音に、無意識に反応する。オレの星座じゃん。え、ラッキー?
占いで一位というのは喜んでいいのか?うん?
嬉しさ半分でテレビを見ていると、
『今日は意外な人からプレゼントがもらえるかも!?』
とのこと。
えー、マジで。だったらあれじゃね、真ちゃんからもらえちゃったりとか。
そんなことを考えているオレは、ラッキーアイテムはクリスマスリースです、なんて声も右から左。
でも皮肉なことにそんなオレの喜びに水を差したのも、
『最下位は残念、かに座のあなたです。』
というキャスターの無駄に明るい声だった。
しかも、
『今日プレゼントをあげるのはやめたほうがよさそうです。』
と続いている。
もらえない。決定。
真ちゃんが占いに逆らうなんてありえない。天地がひっくり返っても、無い。
まあ仕方ないね、真ちゃんからのプレゼントはあきらめよう。
その代わりラッキーアイテムを参考にして、喜ぶようなプレゼント考えて。まあそれで喜んでくれればそれでいいんだケド。
気を取り直して占いを見ると、ちょうど気にしていたことが流れた。
『ラッキーアイテムは―、』
       * * *
『今からそっち行っていい?』
「そーしんっと。」
それだけの短いメールを真ちゃんに送る。オレは、かわいくラッピングされた小さな包みを片手に真ちゃんからの返信を待った。
送信してからおよそ1分。短時間で返ってきた真ちゃんからのメールは、
『暇だからいいのだよ。いつもの公園にいる。』
とのことだった。
いつもの公園というのは、真ちゃんの家から比較的近いバスケットのできる公園のこと。
部活の無いときなどは、よくそこで練習しているらしい。
つーか、暇だからってヒドくね?ま、機嫌悪くないだけいっか。
オレは、いつもリアカーを引いて乗る自転車のかごにそっと包みを入れると、それを全速力で走らせた。

いつもより身軽な自転車を走らせながら、小さく息を吐く。白い。
マフラーと手袋をつけてはいるものの、真冬の寒さにそれらは意味を成さない。
毛糸は隙間から風が入るから嫌だ、まったく。次手袋買うときは毛糸じゃなくしよう。
そんなどうでもいいことを考えながら、ちらりとあたりを見回した。
無意識にさがしていたそれが、オレの視界の端に映る。
「ラッキー。」
オレはそういいながら少し歩道を外れ、小さな店の横に置いてある自動販売機の前に止まった。
自転車を止めて、ポケットに手をつっこむ。中から出てきた財布をあけると、240円だけをとりだした。ちなみに、今の全財産はこの240円をまぜて455円。悲しくなる。
とりあえず間に合ったことにほっとしつつ、まず120円を入れた。
オレの飲む温かいミルクティーを選んでボタンを押す。ガコンと音がし、ミルクティーが落ちてきたのを確認すると、オレはまた120円を入れた。
あるかどうか少し心配だったけれど、今日のオレは本当についているらしい。真ちゃんの大好きなおしるこ(もち入り)も買うことができた。
オレはその二つをかごに入れると、また全速力で自転車をこぎ始めた。

* * *

飲み物が冷めないか心配だったが、それは大丈夫だったようだ。
2分もしないうちに公園につくと、さっき買った飲み物二つとあの包みを持って自転車を降りた。
すぐさま真ちゃんを探す。
真ちゃんはここから遠いベンチに一人で座っていた。こちらには気づいていないらしい。
これは好都合だ。オレは真ちゃんに気づかれないようにそっと近づいて、ベンチの真後ろに立った。
そして次の瞬間、
「めりーくりすまーすっ!!」
といいながら、真ちゃんのほっぺに温かいおしるこの缶をくっつけた。
「なっ、なんなのだよ!!」
予想通りに驚いた真ちゃんを見て、オレは思わず笑ってしまった。
思ったとおりとかマジでウケる。
するとむっとしたのだろう、真ちゃんは怒ったように顔を背けた。
「ごめんごめん。寒いと思ったから買ってきたんだけど。」
笑いの発作がおさまってから、飲む?と缶を真ちゃんに渡す。
真ちゃんは黙ってそれを受け取った。
オレはそれを見ながら、真ちゃんの隣に座って自分のミルクティーをあける。
一口飲んでから、ああそうだ、と小さな包みを出した。
「何なのだよ、それは。」
「ん、これ?これはねー、」
クリスマスプレゼント。真ちゃんへの。
そういうと真ちゃんはびっくりしたのか、ばっと勢い良くこちらを向いた。
「ハイ、どうぞー。」
小さな包みを手の上に置くと、あけていいかと真ちゃんが尋ねてくる。
「うん。つか、早くあけちゃってよ。」
オレが言うと、真ちゃんの手が丁寧にラッピングを解いていった。
中から出てきたのは、
「これは―、」
「そ。今日の真ちゃんのラッキーアイテム。まあ、もう持ってると思うんだけど。」
小さな鈴のついたストラップ。一緒に、小さなサンタクロースとトナカイの人形もついていた。
そう、今日の真ちゃんのラッキーアイテムは「鈴」。
「ただの鈴じゃ芸がないしさ、ストラップ。あと、トナカイの鈴は幸運を呼ぶとかなんとか。」
「・・・高尾にしてはよくやったのだよ。」
「その言い方ひどっ!」
真ちゃんはそういいながらも嬉しそうな顔をしていた。
喜んでくれたからまあ。こっちも嬉しいっつーか。
「そういえば占いで思い出した。お前にこれをやるのだよ。」
「へっ?」
真ちゃんの唐突な言葉に、今度はオレが驚いた。てかこれって。
「プレゼント・・・?」
「そうなのだよ、今日おは朝占いで身近な人にプレゼントを渡すと良いと言っていたのだよ。」
嘘つけ。だって今日のおは朝はオレも見てたし。『今日プレゼントをあげるのはやめたほうがよさそうです。』っていってたじゃん。
てことはつまり、真ちゃんが占いに逆らってまでオレにこれをくれたわけで・・・。
「まじで!?これくれるの!?オレに!?」
「さっきからそういっているのだよ・・・。」
少しあきれた表情で真ちゃんは言う。
でも、その耳は少し、赤かった。
まあ、寒さのせいかもしんないけど。
「あけていい?」
「ああ。」
包みを丁寧に解いていく。中から出てきたのは、
「クリスマスリース?」
小さな、それこそストラップに出来そうなくらいの大きさのクリスマスリースだった。
「今日のお前のラッキーアイテムなのだよ。」
たしかに、そんなことを言っていた気がする。
あーやばい、超嬉しい。
「ありがとう真ちゃん!!超大切にするから!!」
そういうと真ちゃんは、
「お前のも大切にしておいてやるのだよ。」
といってくれた。

うん、すげー嬉しい。
今年は本当に最高のクリスマスだ―!!!