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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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【完全読み切り】匚

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「ボックスを整理するかな」
 僕はパソコンの電源を入れる。そこにはたくさんのポケモンたちがいる。
 「なんか多くなったなあ…少し人にあげようかな」
 ポケモンでいつも連れ歩いているのは6匹。ときどき引き出すメンバーをいれても連れ歩くのは7匹くらいなものだ。他のポケモンはかなりの数がボックスの中にいる。ハッキリ言って、このポケモンと僕たちの信頼関係はない。そういって全く過言はない。だってずっとボックスにいて、多分ものすごく暇であるんだろうから。このぼくを切らであっても仕方ないと思う。
 「ボックス中にずっと預けるくらいなら可愛がってくれるトレーナーでも探したほうがいいもんな」
 僕は今までボックス内にいるメンバーを見る。昔は使ってたケンタロス・最近引き出さなくなったハッサム・育てることすら放棄したポケモンもざらざらと出てくる。
 確かあいつフシギダネって欲しがってたっけ。僕はジョウトの後輩に連絡を取る。

 「でさ、おまえフシギダネって欲しいか」
 「欲しいに決まってるでしょう」
 「実はボックス整理したら出てきたんだけど俺育ててすらいないしあげるから来いよ」
 「いいんですか?じゃあなんか」
 「いらないいらない」
 僕は答える。
 「その代り、こいつをかわいがってやってくれ」

 #

 昔ポケモンをたくさん捕まえて、というより乱獲して、高値で売りさばくロケット団というグループがあった。二度壊滅に追い込まれたが、また復活することもありうるだろう。
 彼らはまさしくポケモンに対して、命という見方はしなかった連中だ。ポケモンは道具のように見るそいつらを見て、僕はすごく憤りを感じた。僕は彼らと戦ったこともある。その結果、一度目の壊滅に追い込んだ。僕は別にすごいことをしたつもりはない。ポケモンが好きで、ポケモンを友達や仲間や相棒として見るトレーナーがやりたい事を、代わりにやったとしか考えていない。
 二回目の壊滅に追い込んだのは彼、ジョウトの後輩ヒビキである。彼がまだトレーナーとしてメンバーも集まっていないころだ。今も集まっていないみたいだけど。

 彼はポケモンを捕まえて、図鑑のページを埋めても、そいつに愛着を見いだせないと人にあげてしまう人間だった。何で、と聞くと最高の笑顔で答える。

 「たがいに相手のことを信頼できる関係じゃないのにいろっていうのは、ひどくないですか?」

 今、僕は胸を張って、彼と同じことが言えるだろうか。

 #

 「うわ〜かわいい!いいんですか本当に」
 彼は本当に無邪気に喜んでいる。トレーナーとして、こういう感覚は忘れてはいけないはずだ。はずなのに忘れていたこと。仲間を思い、仲良く、そしてともに信じあう。それを忘れていない彼を見て、僕は少し気合を入れ直さないといけないと思った。
 「?レッドさんどうしたんですか?」
 「…いや、またシロガネ山で修行しようかなと思って」
 「また挑戦しに行っていいですか」
 「いいけど、さすがに前回のようなへまはやんないぜ」
 「もしかして気にしてるんですか」
 「当たり前だろ…後輩に負けたんだから」
 そして、もう一つ付け加える。
 (お前のほうがトレーナーとしての心構えができているということを認めざるを得ないから)