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鉄のラインバレルログまとめ(森次受中心)

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 一日を二人で過ごしたのでは、週末や休日と何ら変わらない。誕生日だからこそ出来る、記念日といったことを早瀬はやりたいのだ。

「相手の歳の数だけ『好き』って囁くとか、相手の好きなところ挙げていくとか、その分だけキスするとかじゃないか?」
「なあ、道明寺」
「なんだ、早瀬」
「お前、結構少女マンガ好きだろ」

 道明寺の挙げた案は全て、森次よりも幼なじみの理沙子の方が喜びそうなものだった。どう考えても、中学三年生、思春期真っ盛りの男子が言うには夢見がちである。
 だから敢えて早瀬は疑問形ではなく、肯定文として道明寺に言った。確信だ、疑問形にする必要がないほどの。

「ああ、バレた?」

 道明寺はいつもの調子で軽く答えた。あまりにも態度が軽いので、冗談なのか真実なのか分からない。小さく竦めた肩が、余計に答えを曖昧にさせた。

「一瞬さあ」
「うん?」

 道明寺が話題を転換するように言った。

「『俺を貴方にプレゼント☆』ってやれば? とか、言おうと思ったんだよ」
「……うん」

 道明寺の言葉は、昨日早瀬が真っ先に否定した案そのものだった。
 思考回路が全く違う、と思っていたが道明寺と早瀬は変なところで似ていたらしい。こんな少女マンガ脳と思考回路が一緒──早瀬は一瞬視界が真っ暗になった。
 しかしすぐに、白に塗り変えられる。何も考えられなくなったのだ。

「でもそんなことしたら、間違いなく早瀬を殺すよなぁ──森次さん」
「なッ……!!!」

 はくはくと唇を動かす早瀬は、突然陸に揚げられた魚の気分だった。ひやりともじとりとも、何とでもいえる空気が身の回りに漂う。
 早瀬は誕生日の相手を確かに隠していたはずで、道明寺に勘付かれる可能性は低いはずだった。

「ななななな、なんでっ!?」
「あっははは、ビンゴ!!」

 慌てふためく早瀬を見て、道明寺は腹を抱えて笑う。その目にはじんわりと涙まで滲み始めていて、早瀬は段々腹が立ってきた。

「道明寺っ!」
「ああ、悪い悪い。ただ単に勘だよ、勘」

 道明寺の勘の鋭さ、洞察力は石神も高く買っていたではないか。今更気付いた相手の能力に、早瀬は怒鳴りたくても怒鳴れない。
 道明寺に相談を持ち掛けたのが迂闊だったのか、それとも言葉の節々に相手を仄めかすようなことを言ってしまったのか。早瀬は頭を抱えるが、どこで間違ったのかさっぱり分からない。

「相手が森次さんでもさ、やっぱり普通に『おめでとう』が1番無難だと思うぞ」
「……そうか?」
「おうよ」

 眉間に皺を寄せる早瀬は、道明寺の言い分に納得し切れない。無難ではあるが、物足りなさもあるのだ。
 道明寺から顔を逸らし、本格的に自分の世界で悩み出した早瀬を尻目に、道明寺はぽつりと呟いた。

「早瀬がやれば、何でも喜ぶと思うけどな、あの人」
「なんか言ったか?」
「いんや、何にも」

 あー俺も恋人欲しー、という道明寺の虚しい叫びは、早瀬の耳には届いていない。
 独り身の寂しさは、寒空の下で更に身に染みた。

081206

祝い切れてなくてごめんなさい、森次さん。
カプ要素微妙でごめんなさい、言い訳するなら道明寺と早瀬は悪友です、はい。