コードギアスログまとめ(スザク受け中心)
間接的な無理心中(ジノとスザク)
太い太い柱に寄り添って、見つかる確率は恐ろしく高いにも関わらず白煙を燻らせる。
「スーザークっ」
「ッ、は……げほっげほっ!!」
「なにやってるんだ?」
ひょいとジノが柱の後ろから覗き込めば、スザクは咳込んだ涙目で金色を見上げた。
スザクの指が持つ、彼の指に相応しくないそれに、一瞬僅かにジノは顔を顰めた。
「体に悪いぞ、ソレ」
ジノが不機嫌一歩手前の声とともに、スザクの指に挟まれたものを指差した。
「知ってる」
娯楽としての煙草の文化はブリタニアにもある。しかしその独特の苦みのある臭いや、ヤニは貴族の間では好ましくないとされている。あくまでたまの娯楽として楽しむものであり、吸う銘柄によって己のステータスを示したりするのに一役買ったりしているが、今のスザクの喫煙態度はどう考えても娯楽のそれではない。
「喫煙は“緩慢な自殺行為”って言われてるぐらいだし。ほら、さっさとそれを消す」
ジノは屈んでスザクの手から煙草を奪おうとした。しかしスザクの方が一瞬早く、ジノが屈む前に立ち上がってしまった。
「ジノ」
煙草の先とフィルター側が返される。火の着いた先はスザクの方に、フィルターはジノに。
「どうして鬼は、俺を死の門を目の前にして追い返すんだろうな」
そのまま煙草をジノの唇に押し付け、スザクはその場を立ち去った。
「……死にたいのか止めてほしいのかどっちかにしろよ」
こんな見つかり易そうなところで、死を寄せては返す彼の気持ちなど、“生きたい”と思う人間にはなにひとつ分からない。
080531
作品名:コードギアスログまとめ(スザク受け中心) 作家名:てい