最初の一歩
突然のグリーンの言葉に、レッドにしては珍しく驚いたような表情を浮かべる。
「言っておくけど友達としての好きじゃないからな!」
頬を赤くさせてぶっきらぼうに言った。
しばらく目を見開いたままだったレッドは、何かを考えている様子である。
昔から何かを話そうとする前に、人より長く考える為、どうしても口数が少なくなる。
普段ならあまり気にしないが、告白をした後の返事待ちの場合は、沈黙がとても辛い。
沈黙に耐え切れなくなり、再び口を開こうとすると、いつもの無表情に近い顔に
戻ったレッドがポツリと呟いた。
「わからない」
「わからないってどういう事だよ?まさか俺の言った事が理解できないってことか?」
焦って相手に詰め寄るように言ってしまった。
「そういう意味じゃなくて、僕もグリーンが好きだけどそれが友達としてなのか、
そうじゃないのかがわからない」
「おまえ、言葉を端折りすぎだろ。俺だからいいけどさ、他の奴らだと誤解されるぞ」
「・・・別にグリーンがわかってくれればいい」
可愛いことを言われてグリーンが黙っていられるはずもない。
悪戯っぽい笑みを浮かべて、想い人を手に入れる為の提案をした。
「なあ、わからないならこうしたらどうだ?」
ぐいっとレッドの腕を引き腕の中に閉じ込めた。
驚いたレッドが逃げようとするが、きつく抱きしめられている為か離れられない。
「大人しくしろよ。俺の心臓の音、聞こえるか?」
グリーンの問いかけに頷いて答える。
「聞こえるよ。何か心音早くない?」
「好きなやつ抱きしめてるんだから、早いのは当たり前だろ」
「そういうもの?」
「そうなんだよ。で、おまえは?ドキドキしてくれてる?」
「・・・知らない」
ぷいっとそっぽを向いてしまった。
頬が赤くなっている。
「もう一度言うぞ、俺はおまえが好きだ。レッドは?」
思い切ってもう一度告白すると、レッドがこちらを振り向いた。
「・・・僕も、すき」
小さな声だったけれど、抱きしめていたからよく聞こえた。
ようやく、幼馴染から一歩進めたみたいだ。