【完全読み切り】兎
しかし、そのかわいいはずのミミロルであるにもかかわらず、人気のないミミロルがいた。
可哀想に、そのミミロルは青かった。
誰もかまってはくれない。かわいくないから。
「あんなのミミロルじゃない」
どこへ行っても馬鹿にされ、疎んじられ、…青いミミロルは寂しがり屋になった。
ある日修行僧が道を歩いていると、青いミミロルの遺骸があった。
「…ああ悲しや、人、身なりのみ、瞳の中、心は隠れ身を砕くなり」
淋しいとウサギは死んでしまう。ウサギポケモンミミロルも、愛されず死んでいったのか。
修行僧は修行している寺院に、その遺骸を持って帰りの道を、突然降った夕立の中、急がず歩き始めた。