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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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【完全読み切り】黄

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はなっから分かりあえるはずがないと思っていた。だから俺は反射的にあいつを避けていた。
 彼女の名前はイエロー。白い帽子にノースリーブ、ミニスカートといった、いかにも女の子らしい女の子。俺は同郷のよしみで長く彼女と交際をしていた。しかし、今となっては会うことすらないどころか、ただのメール一つさえ彼女にはよこしていない。最低の男だろう。自分でも自覚している。それでいいんだ。彼女は俺なんかじゃなく、もっと別の奴を見つけて幸せになるべきなんだと思う。

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 俺が、各地の有力トレーナーを集めて、一大勢力を作り上げ、そのリーダーに就任した日、俺はそれまでわずかに持っていた帰宅願望を捨て去った。大事な人のためなら、ロケット団を倒すために、自らは戦地に赴き、戦地で倒れる覚悟を持つ。戦友たちと仲間の絆を結び、悪の組織でありながら団員たちの結びつきが強い彼ら、ロケット団に対抗しようという、およそ子供だけの組織とは思えないことをしていた。そりゃあにたようなことをグリーンもしていたが、あっちは公式であって、俺たちみたいにアンダーグラウンド組織まで入り込んだ調査などしない。どっちが正しいのかはよくわからない。
 とにかく俺はそのために彼女という存在を捨て去ることを決意した。俺の元で吹くリーダーをつとめてくれるユウキという少年が、やはり同じように彼女を振り切り闘うことを決意したように。

 #

 だが、ロケット団をつぶしにかかり、ついにトップ・サカキをつぶした後、俺たちは他の悪事組織をつぶすようにはなっていたが、すでにもう存在もなにもかもばれていた。当然、他の人たちと連絡が付くようになっていた。これが非常に厄介であり、俺は、ついに、イエローに鉢合わせしてしまった。

 「 」
 なにもいえなかった。躊躇うことすらできなかった。彼女はまっすぐに視線を向けてくる。それを直視できるような、そんな能力は持ち合わせていなかった。

 そもそも彼女とつきあっていたのには、いろいろな理由がある。同郷の幼なじみだったこと、好きなタイプに属するかわいい女の子だったこと、意外なほど素直なところ、そして、俺のことを、実力面ではなく、一個人として特別視してくれることだった。

 俺はそのころ、ワールドリーグという、大きな大会で世界ランク一位だった。ライバル・グリーン、ガールフレンド・イエロー、コレクター・ブルーを下しての堂々一位であり、しかも四人が四人とも同じマサラタウン出身ということで、マスコミなどからも注目され、どこへ行っても、実力者に対する目を向けてくる。

 窮屈だった。

 俺だって普通の人間なんだ。普通の少年なんだ。馬鹿なことだって考えているし、性的なことにも興味を持つ年頃だ。そういうものだ。それなのに世界の人は、俺がまるで模範的少年であるかのような目を向けてくる。俺は、そこでみなさんの期待を裏切らないよう、これまた模範的少年であるように振る舞う。

 「そんなに見つめちゃだめだよ、レッド」
 彼女だけが、俺の裏面をよく捉えていた。彼女だけが、俺を、模範的少年でなく、昔からの幼なじみとしてみてくれた。
 親友グリーンや、顔なじみのブルーですら、あの日の後は別人のようになってしまったのに。

 俺は、普通でいたかった。ポケモンバトルが強い奴でいたかったけれど、だからといって、名声はほしくなかった。

 #

 「変わったんだね、少し」
 イエローが不意にそういうことを言う。
 「前はおしゃべりで、私といるとくちなんて閉じなかったのに、あの戦中も、今も、周りからは無口として捉えられているものね」
 俺は、それにすら返事ができない。
 「・・・変わっちゃったね、本当に」
 彼女は現実を再確認する。
 「レッド、どうしてなにも話さないの?なにがそんなに怖いの?私があなたを今どう思っているか?私の中でのあなたの存在価値について?・・・なんも聞かれなければ、なにも答えられないよ?ねえ?いつまで黙っているの?」

 「・・・何も」
 俺はそういって、リザードンにのって飛び去った。