青葉と新羅
新羅は扉を勢いよく開けた格好であからさまに残念そうな顔をした。
「酷いですよ岸谷さん、あっ新羅さんって呼んでいいですか?」
「来て早々何なんだい君は」
「新羅さん今暇ですよね?僕とお話しませんか」
「嫌だと言ったらどうするんだい?」
「いいじゃないですか、僕新羅さんの事知りたいんですよ」
そう言う青葉に新羅は小さく溜息を吐いた。
「帰る気はないのかな」
「ありません」
即答する青葉の顔を見て新羅は大きく溜息を吐いた。
「どうしたんですか新羅さん、疲れてるんですか?」
「この前の出会い方で普通に家に来れる君が凄いよね」
「そうですか?」
青葉は首を傾げた。
「まぁいいんだけど、コーヒー飲んだら大人しく帰ってね」
「あれ、入れてくれるんですか、てっきり家に上がらせてもらえないのかと貰えないのかと思ってました」
「それならここで追い返してもいいんだよ」
「いえいえコーヒー頂きます、折角新羅さんがコーヒーを淹れてくれると言ってくれたので」
青葉はそう言ってニッコリと笑った。
「そう、飲んだらすぐに帰ってね、セルティが帰って来るから」
新羅は後ろを向かずに言った。
「はい、わかりました・・新羅さんって腰細いですね」
「ちょっと黒沼君何してるのかな」
新羅は自分の腰に回っている腕を見下ろした。
「え?いや抱きついてみたいなぁっと思いまして」
「気が済んだらさっさと離してくれると嬉しいかな」
「んー待ってください今新羅さんの腰満喫中です」
そう言って青葉は新羅の背中に頬を擦りよせた。
「はぁ・・黒沼くん君はなにがあっ!セルティ!」
ガチャリと開く音に新羅が首だけで振り向けばセルティが立っていた。
「僕の愛しのセルティお帰り!!」
新羅は腰に青葉をくっつけたままセルティの方を向いた。
「ちぇっ首無しライダーさんが帰って来ちゃったので僕は帰りますね」
「うん君はさっさと帰りなよ」
新羅は笑顔でそう言うとセルティに抱きついた。
「それじゃ、また首無しライダーさんがいない時に会いましょうね新羅さん」
青葉は新羅に向かって言ったが新羅は青葉の存在を忘れているかのようにセルティに抱きついていた。