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close to you(Exclusive!)

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「お兄ちゃん、宿題で教えてほしい場所があるんだけど」
「宗太ーつまみ作ってー」
「宗ちゃん……部屋のお掃除、お願い……」
「宗太。明日から出張だから」
「分かったから一人ずつ喋ってくれ」

 休日、宗太君の家に遊びに来て部屋で可愛いものを見せてもらっていると、なずなちゃんやお姉さん達が入れ替わり立ち代わりで行き来を繰り返していた。
 何事かと思って宗太君に訊いてみたけど苦笑いをするばかりで中々、口を割ってくれない。

「もしかして私、お邪魔だったかな?」
「全然そんな事ないです。むしろ歓迎されてますよ」

 一抹の不安を吐露すると返事は、違う、というもの。
 じゃあ何でだろう? と頭を悩ませていると不意に眉間に指が触れた。

「皺が寄っていますよ。可愛い顔が台無しです」
「か、かわいい……」

 ちょうどお姉さん達がいない瞬間だった。
 流石に誰かがいたらこんな事はしないと思うけど。
 未だに慣れないこの言動に、私はまだまだ固まってしまう。

「皆、まひるさんの顔が見たいんですよ。だから部屋に来るんです」
「私を?」
「そうです」
「だって宗太君に用事があって来てたんじゃ?」
「用事をでっち上げてまで来てるんですよ」
「なん……で?」

 きっと今の私はきょとんとした顔をしているに違いない。
 何の為にわざわざ?

「皆、まひるさんが好きですから」
「私の事が?」
「そうです。女ばかりの家族とは言え、まひるさんのような人はいないですから、仲良くなりたいんですよ」

 それを表だって表現するのが恥ずかしくて、今みたいに冷やかしのような形で俺の部屋に来るんです。
 と、宗太君は言うと申し訳なさそうに断りを私にいれて、用事を済ませる為に部屋から出て行った。


 一人になった部屋でふと考えてみる。
 
 私の事が好き?
 本当だとしたら歓迎されているって事だし、勿論嬉しい。
 でも私にはそれは少し違うように思える。

 皆は多分、宗太君が好きで、宗太君のそばにいたいんだ。
 まるで私みたいに。
 なずなちゃんと泉さんは特に好きみたいだし、梢さんや一枝さんだって家事全般をこなしている唯一の男家族が可愛くてしようがないんだと思う。
  
 そこに入ってきた私は果たして本当に好かれているのかな?
 私だって宗太君のそばにいたいけど、お姉さん達ともこれまで以上に仲良くなりたい……
 うーん……一度考え始めちゃうと駄目な方向に行っちゃうなぁ。



 
「で、姉さん達はさっきから何やってるの?」
「だって宗太が伊波ちゃんを一人占めしちゃうんだもーん」
「健全な異性交遊の為にもリビングに降りてこい」
「宗ちゃん……小説のネタを訊き出したい……」
「伊波さんともっとお話したいよお兄ちゃん」
「あのなぁ……」



 悩んでる私を宗太君が連れに来て、予想外で予想以上のおもてなしをうけるまで、後もう少し。
 悩みを忘れそうになるくらい、距離が縮まって笑えるようになるまで、後もう少し。
 悩んでいた事が馬鹿らしくなるくらい、自分は好かれているんだと実感するまで、後もう少し。

作品名:close to you(Exclusive!) 作家名:ひさと翼