池袋のとある洋菓子店~月曜日~
池袋のとある洋菓子店~月曜日~
「いらっしゃいませ!あっセルティさん今日和」
『やぁ帝人』
ドアの開く音がしてそちらを見るとライダースーツでヘルメットを被っているセルティさんがいた
セルティさんはここの常連らしく僕が来る前からのお客さんらしい
初めて会ったときは池袋の都市伝説が目の前にと思って呆然としてしまったが
静雄さんと仲が良いらしく静雄さんの紹介で話すようになった
今ではチャットやメールをする仲で大切な友達である
トムさんが居ないときに僕はヘルメットの中も見せてもらった
そこには噂通り首が無かった
僕は驚きはしたがセルティさんを怖がったり避けたりはしない
セルティさんはセルティさんだから
トムさんがヘルメットの中身を知っているのかどうかは知らないがその話題にはあれ以来触れていない
因みに買っているケーキは同棲している人にあげているらしい
セルティさんの同棲までしてる大切な人ってどんな人なんだろう?
近々その人を連れてきてくれると言っているので楽しみだ
「セルティさんこの前のケーキはいかがでしたか?」
『この間のオススメのモンブランはとても好評だったぞ。だから今回もオススメのものを貰いたいんだが?』
「それは良かったです!今日のオススメですかー。静雄さん今日はフルーツが良いのが手に入ったって言ってましたから、このフルーツタルトがオススメですかね?」
『そうか、ではそれを1つ』
「かしこまりました。では500円です」
『あぁ』
「丁度お預かりしますね。ではこちらをどうぞ」
僕は箱に詰めたケーキをセルティさんに手渡した
『ありがとう。そうだ帝人、またメールするから休みの日にでも出かけよう』
「良いんですか!!」
セルティさんがなんとも嬉しいことをPADに打ち込んでくれた
セルティさんと遊びに行けるなんて!!
さらに
『あぁまたバイクに乗せてあげる』
「本当ですか!ありがとうございます!!」
セルティさんのバイクに乗れるなんて!
良いこと尽くめだ!
『じゃあな』
「はい!ありがとうございました」
セルティさんは愛車に乗って帰っていった
やった!!
僕はお客さんが来ないのを確認して静雄さんの居る厨房に向かった
「静雄さん!」
「どうかしたか帝人?」
僕が覗くと静雄さんは仕事が一区切りついたのか座っていた
オーブンが動いているから焼きあがり待ちなのだろう
「今セルティさんが来ていたんですよ」
「セルティが?」
「はい!それで今度僕をバイクに乗せてくれるって!」
「そうか。それは良かったな」
「はい!」
僕が興奮しながらこれまでの経緯を話すと
静雄さんは僕の頭を撫でながら聞いてくれた
「その時は静雄さんも一緒に行きましょうね」
「えっ?セルティと2人じゃなくていいのか?」
「?なんでですか?」
「だってお前セルティ好きだろ?」
静雄さんのこういう気遣いは良い所だ
でも・・・・
「そりゃセルティさん好きですよ?でも僕、静雄さんも大好きですから」
そう、静雄さんとセルティさんでは好きの種類が違う
セルティさんは好きだけど
静雄さんは愛しているから
「なっ!!そ、そうか・・・じゃあ3人で行くか」
静雄さんは照れながらも承諾してくれた
可愛いなぁ
「楽しみですね!」
「そうだな」
「帝人、愛してる」
「・・・・・・僕も愛してます」
今日も良い天気で平和な1日です
そんなこんなの月曜日でした
End
作品名:池袋のとある洋菓子店~月曜日~ 作家名:神郷