池袋のとある洋菓子店~水曜日~
池袋のとある洋菓子店~水曜日~
でもバイト先に赴こうとしている
何故かって?
それは……
「みっかどー!早く行こうぜ!」
「竜ヶ峰君、どうかしましたか?」
「正臣うるさい。園原さんなんでもないよ」
「今日も相変わらず冷たいぜ帝人」
この2人をバイト先に招待するからだ
因みにこの2人は学校の友達だ
幼なじみの紀田正臣くん
そして高校で知り合った園原杏里さん
前々からバイト先のケーキ屋さんに案内して欲しいと頼まれてて
今日は皆の予定がなく僕のバイトも休みだったから
皆で行くことにしたのだ
「てか帝人に話を聞くまでそんな所にケーキ屋があるなんて知らなかったよ。しかも平和島静雄が働いている」
「私も知りませんでした」
「僕も散歩してたら偶然見付けたからね、でもとっても美味しいんだよ!後、静雄さんは良い人だからね」
「わかってるよ、噂は微妙なのばっかだけど帝人がそう言うなら俺は信じてるって」
「私もです、楽しみですね」
「2人ともありがとう!あっ見えてきたよ」
僕が2人にバイトの事を話して静雄さんの名前を出した時
すごく驚かれた
何でも静雄さんは池袋では有名人だったらしい
凄まじい怪力の持ち主
決して怒らせてはならない人
いろいろある噂を引っくるめたらだいたいこの2つである
池袋に越してきた時に正臣に注意はされたけど
すっかり忘れてた
それに会ってみたら凄く優しい人だったし
やっぱり噂なんてアテにならない
僕が2人に静雄さんが優しい事を説明したら
最初は半信半疑だったみたいだけど最終的には信じてくれた
それに店にも来たいと言ってくれた
僕はとっても嬉しかった
僕ってやっぱり良い友達を持ったよな
「ここだよ、じゃあ入ろっか」
「おー!」
「はい」
僕が店に入るとトムさんが迎えてくれた
「いらっしゃいませって竜ヶ峰じゃないか」
「今日和トムさん」
「どうしたんだ、今日はバイト休みだろ?」
「今日は友達とお客さんとして来ました」
僕は不思議そうにしていたトムさんに訪れた理由を説明する
そして後ろにいた2人を紹介した
「こんちわで~す」
「今日和」
「いらっしゃい、よろしくな。まぁ今日はゆっくりして行けよ」
挨拶を済ませた僕たちはケーキを選ぶ事にした
「うわーどれも美味しそうだな」
「そうですね、迷います」
正臣も園原さんもかなり迷っているようだ
確かにどれも美味しそうってか美味しいからね
「決めた!俺はモンブラン」
「私はショートケーキを」
「じゃあ僕はチーズケーキで」
「モンブランとショートケーキとチーズケーキな、畏まりました。中で食べてくんだろ?」
「はい」
「じゃあ席に持って行ってやるから座ってな」
僕たちはお礼を言ってから
席に向かった
「すっげーなここ!どれもめちゃくちゃ美味しそうだった」
「そうですね、全部見た目も綺麗でしたし」
「でしょう!あれ全部静雄さんが作ってるんだよ」
「本当にすげーよな」
「お待たせしました」
軽く話していたらケーキがやってきたって……
「静雄さん!」
「よぉ」
何とケーキを持ってきたのはトムさんじゃなくて静雄さんだった
「トムさんはどうかしたんですか?」
「ちょい買い出しに行ったから変わりにな」
「そうですか、あっこの2人は僕の友達です」
「こんちわです」
「はじめまして」
2人ってか主に正臣は急に登場した静雄さんに緊張気味だ
「よろしくな、飲み物はサービスだ飲んできな」
静雄さんは軽く挨拶をして頼んでいない飲み物とケーキを並べる
「えっでも」
「気にするな、帝人の友達だしな」
「「「ありがとうございます!」」」
僕たちは口を揃えてお礼を言う
「あぁ、じゃあごゆっくり」
静雄さんは少し笑い
そして厨房の方に帰って行った
「良い人だった」
「良い人でしたね」
「だから言ったでしょう」
こうして僕たちはケーキと飲み物を堪能して
静雄さんと帰ってきたトムさんに改めてお礼を言い店を出た
「ケーキも飲み物もサイコーだったな」
「はい、とっても美味しかったです」
「気に入ったみたいで良かったよ」
「平和島さんも良い人だったしな」
「ええ」
正臣と園原さんは笑いながら僕に言ってくる
「今度は杏里と2人で帝人がバイトしてる時に行くな」
「えぇ!?」
「私も働いてる竜ヶ峰くん見たいです」
「そんな~恥ずかしいから止めてよ」
「いや!これはもう決定事項だ!なっ杏里」
「はい」
「は~」
予想外の計画を立てられてしまったが
それでもやっぱり楽しい休日な水曜日でした
End
作品名:池袋のとある洋菓子店~水曜日~ 作家名:神郷