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【ノマカプAPH】彼女との未来について【英セ】

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小さな一戸建ての家。扉を開けた途端に、ふわっと美味しそうな匂いが漂ってくる。
靴を脱ぎながら「ただいま」と言うと、その声を聞き付けて、トタトタという音を立てながら、彼女がやってくる。
エプロンで濡れた手を拭きながら、「おかえりなさい」と満面の笑みで見つめてくる彼女があまりにも可愛らしくて、つい抱き締める。
彼女は一瞬戸惑う様子を見せつつ、でもすぐに身体を預ける。
そんな彼女の様子に、さらに愛しさがこみ上げてきて、抱き締める腕に力が入る。
しばらく抱き締めたあと、俺は彼女の顎をそっと持ち、顔を近づける。
一日の疲れを癒す、甘い唇に触れ

「イギリスさん!」
「はっ?!」

ハッとして周りを見渡すと、イギリスは玄関先でなく、ソファーの上にいた。
そして先程まで抱き締めていたはずの温もりはそこにはなく、目の前に仁王立ちしていた。

「こんな所で寝たら風邪引きますよ。もう若くないんですから…。」
「俺…どんくらい寝てた?」
「えー…っと…多分一時間も寝てないと…」

いまだに寝ぼけている頭をなんとか覚ますために身体を起こす。

「おい、セーシェル。」
「うぃ?」

まるであの髭のような返事も、いつもならやめろと怒る所だが、今日はまあいいとしよう。

「俺たちの関係って何だ?」

そう尋ねると、彼女はうつむきながらボソッと

「…こいびと、です。」

と言った。

そんな彼女の腕をぐいっと引き、自分の隣に座らせる。

「…ちょ、何してるんですか。痛っ…!」

彼女はいきなりの衝撃に顔をしかめて、睨んできた。

「おい、セーシェル」
「もう、何ですか!」

彼女はイライラしていた。
もしかしたらこの流れで今自分の考えを伝えても、流されるか最悪拒否されるかもしれない。
しかし、今この気分のまま伝えなければ、一生とは言わずとも、あともうしばらくは伝えられないということが予測できた。
その間に自分たちの間に何か起こったらたまらない。
そう思い、ゆっくりと重い口を開く

「なあ、俺のメシを毎日作ってくれないか?」

そう言い切ってからゆっくりと彼女の顔色を伺う。
きっと、照れて真っ赤になってるだろうと予測していたが、彼女は『何言ってるんだ、コイツ』というような呆れた表情を浮かべていた。

「…イギリスさん、苦手なものから逃げちゃダメです。」
「…は?」

てっきり、『イエス』的なものを聞けると思ったのに、彼女の返事が予想外すぎて何も考えられなくなる。

「いくら料理が苦手だからって、毎日私に作らせるなんて…!だから上達しないんですよ!」
「毎日作っても上達しないんだよ、ばかぁ!」

セーシェルはおもむろに立ち上がると、イギリスの方へ手を差しのべる。

「なんだよ…」
「立ってください。」

セーシェルの行動の意味は分からないが、とりあえずその手を取り、立ち上がる。

「イギリスさん、練習しましょう、料理。他人に頼るなんてダメです。今フランスさんに料理教わってる途中なのでまだまだですが…ちょっとなら教えてあげれます。」

そう言うなり、イギリスの手を引っ張り、台所へ行く。
ごそごそと袋を漁り、布を二つ取り出す。

「これ、あげます。」

イギリスはその布をセーシェルから受け取り、広げて見てみると、それはエプロンだった。

「イギリスさん、料理好きそうだし…下手だけど。たまたま二つ手に入ったので…。」

ビックリしてセーシェルを見ると、彼女は色違いのエプロンをつけていた。

「さあ、始めますよ。」


色違いのエプロンをつけて、二人並んで料理をする姿はまるで…

「夫婦みたいだな。」
「なっ…何言ってるんですか!料理に集中してください!」



疲れて帰ったら優しい奥さんが美味しい料理を作って待っている、そんな生活もいい。
けれど、二人で並んで料理をする生活もいいじゃないかとイギリスはしみじみと思ったのであった。



【終】