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チョコレートケーキ
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novelistID. 1202
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嘘が本音

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蓮川は寝転がった。

「先輩方って仲良いですよねー…」

言った直後、反転した世界の横からティッシュ箱が飛んでくる。それを投げた人間は二段ベッドの上にいる男。

「あぁ~?蓮川…お前なんだいきなり藪からぼーに」

光流先輩である。
短い丈のジャージからのぞく生脚が眩しい(蓮川には全くそのケはないが)。色素の薄い柔らかそうな髪と睫毛を全部抜いたとしても30秒で生え変わる驚異の整った顔立ち。

「バカなのか?おりゃっ!」

「いででででででッやめてくださいぃい!」

それでこの性格。
ほんといい性格してるよな、と、蓮川は股間からやっと足を退けた光流を恨みがましく見つめる。

「なんだよ。気持ちわりーな」

「ほっへをひゃっはわらないでくわさひ」

「さて、蓮川」

突如、凛とした美声が響いた。

「俺と光流が仲が良いのが、どうしたって?」

忍先輩である。
今の今まで蓮川の呟きを無視しときながら、また掘り返す。
忍らしいやり方だった。
キィ、と椅子を回転させた忍は、床に転がった蓮川と光流に笑いかけた。

「なんだ、お前ら二人して固まって」

持っていたシャーペンを置き、忍が立ち上がる。
そして、おもむろに胡坐をかいた光流の前に座りこむと、その顎をそっととった。

「好きだぜ、光流…」

「…俺も、忍…」

「それ!やめてください!」

蓮川が全力で二人を引き離した。
目の前の光景にまた白目を向くところだった。
忍が「お前が振ったんだろ」、と、真顔でのたまう。

「振ってませんよ!先輩たちのそれ、全然面白くないですからね」

「ふむ」

「精進せねばな」

「いっいらないですって!ていうか、忍先輩がなんか本気くさくていやなんです!」

一瞬、虚をつかれた表情。しかし、忍のそれはすぐに元の飄々とした顔に戻った。

「忍。お前本気なのか…?…ふ、俺も本気だぜ」

「光流………」

「もーやめてくださーい!!」


グリーン・ウッドは今日も平和。







「蓮川は、あれで案外鋭いなぁ」

「は?」

「いや、こっちの話」

頭を撫でられながら、光流は首を傾げた。
作品名:嘘が本音 作家名:チョコレートケーキ