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ひとつの幸せ プロローグ

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……起きたくないな。
  でも、今日も学校あるし…でも、学校も行きたくないな。
  起きなかったら、お母さんに殴られるかな?
  …起きよう。
  「…おはよう」
  「………」
  無視された。
  やっぱり、お母さん本当に私のこと嫌いなの?
  準備が整い、学校へ行こうとする。
  「行ってきます。」
  そう挨拶すると、ボソッと声が聞こえた。
  「二度と帰ってくんな」
  という言葉が聞こえた。
  学校に着くと、いつもの景色だった。
  私の机はぼろぼろ。
  置き勉していた教科書も全部いろんなところへ蹴散らかされていた。
  「ちょっとー」
  後ろから女子の声が聞こえた。
  私のこと、苛めてくる奴の一員だ。
  「…何か用?」
  「何か用、じゃないわよ!苛められてる分際で置き勉なんて、生意気なのよ!」
  って怒鳴られた。
  実は怖かったんだけど、強がってみせた。
  「そんな文句言われても、うち家遠いし。」
  流石に相手もイラッときたらしく、
  「口答えするなっ!!気持ち悪い…」
  と言われた。最後の捨て台詞は、
  「この、イモムシ!!」
  イモムシとは、私のあだ名だった。
  何故そう呼ばれてるのかと言うと、この私の髪型にあった。
  生まれつき、黄緑のような髪の色をした私は、普通の子ではないと周りから認識され、
  苛められるようになった。
  みんなに見て見ぬふりをされ、私は人を信用しなくなった。
  そのせいかな。無表情になった。

  放課後、家に帰りたくなかった。
  私は今朝お母さんから聞いた言葉を忘れはしなかった。
  『二度と帰ってくんな』
  …お母さんは、いつからか私を嫌いになった。
  死ねばいいのにとか、生むんじゃなかったという私の存在さえも否定した。
  もう、生きていたくなかった。
  帰る途中に、マンションがあった。
  あそこに行けば、死ねるよね…
  そう思って、10階までエレベーターを使って行った。
  いろんなことを思い出しつつも、私は下へと落ちていった。
  下の方に…人が見える…?
  そう思った瞬間、目の前に光が出てきて、私はそこに吸い込まれた。