おやすみらいおんハート
本当は一人分しかない布団に二人でくるまって、
委員会の事とか授業の事とか他愛の無い話をしていたはずなのに
睡魔に誘われた兵助の返事はだんだん小さく曖昧になって
それを淋しいと思う間もなく 俺一人置いてこいつはあっという間に夢の世界だ。
おかげで俺は、長い夜に置いてけぼり。
それでも規則正しく動いてる兵助の肩が可愛くて、起こすには忍びなかった。
短い前髪が少しだけ汗ばんだ額に張り付いていて、
起こさないよう親指で梳くと形の良い控えめな額が俺を見てくれる。
守りたいな、と思った。何からだとかどうやってとか、そういう具体的な感じじゃなくて
なんだかこう、
そう、漠然と。
俺ずっとお前の傍にいて守るからって漠然と強くそう思ったんだ。
誓うように唇を落とした。
かすかに動いた額の皮膚に、お詫びをこめてもう一度。
作品名:おやすみらいおんハート 作家名:さと