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ルノ・ラダ ~白黒~

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積極的



ラダはとりあえずお友達からでもいいんで付き合って下さい、ていうかとりあえず私達に協力して貰えませんか、とルノにお願いした。

ルノはどれに対して答えたものか、と戸惑っていたが、結局友達になるのは嬉しいし、友達として個人的に協力するというならいいよ、と快く返事した。

ラダはとても喜び、自分の城に来て欲しい、とルノを誘い連れてきた。

とりあえずルックに部屋の案内を頼み、ラダは誰だ?という目で見ていた人達を集めてニッコリと言った。

「あの人はとても強い人なんです。強力な助太刀です。そして・・・私の一目ぼれの相手です・・・。」

最後はぽっと赤くなって告げた。
どよめきが周囲に沸き起こった。叫び声まで聞こえる。

「皆さん?私の好きな人に横恋慕とか、酷い事言ったりしたりしたら・・・私は如何なる理由であれ許しませんから、覚えておいて下さいね?」

ラダはニッコリと、そして身も凍るような笑みを浮かべて言った。

周囲はシーンとなる。

誰もがこのラダを好きで(特に男は恋焦がれるくらい)慕っていたが、ラダが怒ると、とても恐ろしいという事は知らない者はいなかった。
だからこそ新参者以外はラダを無理やりどうこうしようとする者がいなかった。

「・・・さっき叫び声が僕らの方まで聞こえてたけど・・・君、正直に言った訳?」
「勿論。だってルノさんこんなに素敵なんですよ?牽制しておかないととられちゃうじゃない。」
「素敵・・・?」

ルノは首を傾げている。
ラダはニッコリしてルノの腕をとった。

「今から私の部屋案内します。こっち。」

そして呆れた様子のルックに手を振ってラダはルノをエレベータに乗せた。

「ここが私の部屋です。どうぞ。お茶を出しますから。」
「え、ありがとう。」

自分の部屋にルノを入れるとラダはそっとほくそえみ部屋のドアを閉めた。
そしてルノを椅子に座らせお茶の用意を始める。

「ルノさんってかなりお強いんですよね?今度手合わせしてもらえませんか?」
「うん、いいよ?でもラダ・・・あ、ラダって呼んでいいの?」
「ええっ勿論っ。」
「あは。そんなに力込めなくても。ラダもとっても強いんだよね?」
「一応小さな頃から鍛えてはいるんですけど・・・。多分ルノさんの方が強いと思います。」

どうぞ、とお茶を差し出した。
ルノはニッコリとして礼を言った。

お茶を飲みながらとりとめのない会話をする。
そろそろ飲み終えるだろう頃、ラダはもじもじしながら言った。

「あの・・・ルノさんは私の事、好きになれる可能性ってありますか?」
「えっ?好きって、友達として、じゃなく?」
「はい。私ルノさんの事、一目ぼれなんです。」
「えーと、一応聞くけど・・・ラダって男の子、だよね?」
「ええ。だめ、ですか・・・?」
「うーん・・・その、考えた事もなかったから・・・その、同性愛とか。」
「無理、ですか・・・?」
「どうだろう・・・。どのみち僕は君の事まだよく知らないし・・・何とも言えない、かな・・・?・・・ごめんね?」
「ううん。でもっ、それだと私まだ諦めなくていいんですよねっ?ルノさんの事、思っててもいいんですよねっ?同性だからまず無理、とかじゃないんですよね?」

ラダは上目づかいで必死になって聞いた。
多分他の男なら即押し倒していたであろうこの様子もルノにはあまり効果はないようだった。

「え?あ、ああ、うん。そ、そうだね。・・・でも僕はその、年をとらない、よ?」

ルノは少し押されぎみで頷いた。
ラダはホッと安心したような顔をした。ルノはふと今の顔は何だか可愛いけど、と思った。

「そんな事私はちっとも気にしません。英雄、とか不老、とかそういう事は私にとっては魅力でも障害でもなんでもないです。ただルノさんが好きなだけ。ルノさんが諦めなくていいって言ってくれるだけで今最高に嬉しいんです。」

ラダはニッコリと呟くように言った。
何気なく言った台詞だけにそれはルノの心に響いた。
ルノもニッコリとした。

「ありがとう。そんなに僕を思ってくれるのは、とても嬉しいよ。」
「ほんとですか!?よーし、じゃあ私、がんばります。とりあえずこれから、よろしくお願いします。」
「ああ、うん、よろしくね。」
「・・・ルノさんはキスとかしたことあります・・・?」

徐に聞かれ、ルノはえ?と呆然とした。

「ううん、ないけど・・・?」
「初めては絶対こう、とか初めての相手はこうでなきゃ、とか、何かこだわりってあるんですか?」

いったい何を聞いているのだろうと思いながらも、ルノは首を振った。

「いや、こだわりも何も、考えた事もなかったから・・・。」
「そう、ですか。」

ラダは笑った。
だが今回の笑みは微笑ましいものではなかった。

妖艶。

そうとしか形容できないような笑み。

そしてその笑みを浮かべたままラダはルノに近づいた。
そして口づける。

ルノは一瞬何をされたのか分からなかった。

次の瞬間ええっ!?と言いながら赤くなり口を押さえた。

「うふ、これでルノさんのキスの初めては私ですねー?今のはよろしく、のキスです。早く恋人同士のキスが出来る間柄になりたいです。」

妖しく笑いながらラダは言った。

「な・・・何を・・・」
「やだなールノさん。今のは軽い挨拶ですよー?私的には早く恋人同士のキスが出来る間柄になりたいなーっと思ってます。」
「な・・・、え・・・?こっ恋人って・・・。」
「だーい好きです、ルノさん。」

ニッコリ笑うとラダはギュウッとルノに抱きついた。
ルノは最早呆然とするしかなかった。


「・・・どうしたのルノ?キスでもされた・・・?」

後でルックはボンヤリしているルノにさらっと言ってきた。

「えっ?な、何で・・・?」
「僕はあの子のこと君よりは知ってるからね。でも軽いキスだろ?それくらいでボンヤリしてたら身が持たないよ?」

それはどういう意味だとルノは青くなって聞いたけど、風使いはさあ?とどこ吹く風で相手をしてくれなくなった。
作品名:ルノ・ラダ ~白黒~ 作家名:かなみ