池袋のとある洋菓子店~金曜日~
とある金曜日、仲の良い2人がやってきた
池袋のとある洋菓子店~金曜日~
「あっセルティさん。いらっしゃいませ!」
『やぁ帝人。今日和』
「今日和!あの、そちらの方は?」
セルティさんの横には見たことのない白衣を着た眼鏡の男の人がたっていた
「やぁ今日和!君の事はセルティからよく聞いてるよ!会えて嬉しいよ竜ヶ峰帝人くん」
「はぁ……あの?」
「自己紹介が遅れてごめんよ!僕の名前は岸谷新羅っていうんだ。宜しくね!因みにセルティの彼っぐはっ!」
『調子に乗るな!』
岸谷さんは言い終わる前にセルティさんに殴られてしまった
痛そう……
「岸谷さんにケーキを買ってあげていたんですね」
『あぁ……こんなやつでも一応世話になっている身だからな』
そう言うセルティさんは何だか嬉しそうだ
「一応だなんて!僕的にはもっと頼ってくれても良いくらいなのに」
『うるさい』
セルティさん照れてる……
ラブラブなんだなー
「仲が良いんですね」
『なっ!』
「そうだろう帝人くん!あっ僕の事は新羅で良いからね」
「はい」
「後、僕これでも闇だけど一応医者だから怪我とか病気になったらおいでね。診てあげるから、勿論無料で!」
「えっお金は払いますよ!」
「良いさ良いさ!セルティの友達だし、僕も帝人くんのこと気に入ったからさ」
「ありがとうございます」
凄まじいテンションで言うものだから
断り続けるのも失礼と言うことも込みで
承諾させてもらった
本当に良い人だな
闇ってのが気になるけど
ここは聞かないことにしよう
「騒がしいけど何かあったか?って新羅じゃねぇか」
「やあ静雄!久しぶりだね」
奥から出てきた静雄さんは新羅さんと何だか親しいようだった
知り合いなのかな?
「静雄さんと新羅さんって知り合いなんですか?」
「あぁこいつとは同期なんだよ」
「小学校と高校が一緒だったんだよね」
「えっそうなんですか?」
世界って狭いんだな……
てっきりセルティさん繋がりで知り合ったのかと思ったのに
「最近はセルティが来るだけだったのにどうかしたのか?」
「セルティが友達を紹介してくれるっていうからね。会いに来たんだよ!」
「帝人か」
『あぁ新羅も気に入ってくれたようで良かったよ。まぁ当たり前だけどな』
「確かに当たり前だな」
「ふっ2人とも何言ってるんですか!」
当たり前って!
僕にそんな評価は!
「だって帝人が嫌われる訳ないだろうが」
『こんなに良い子だしな』
「確かにね~ いっそのことセルティと僕の養子にしたいくらいさ!」
「養子って……」
新羅さんの突拍子もない言葉に思わず呆れてしまうが
『それは良い考えだな新羅!』
「そうだろセルティ!君ならそう言ってくれると思ったよ」
「えぇ!?」
セルティさんは新羅さんの言葉に賛成してしまった
何でそんなに嬉しそう(?)なんですか!
セルティさんは新羅さんと養子話で盛り上がっている
いや確かに2人とも良い人だけど僕の両親ちゃんと生きてるし!
「あ!もし本当に養子に来たら静雄は僕の事をお義父さんって呼ぶことになるね」
「「な!」」
『じゃあ私はお義母さんか!何だか照れるな~』
いや!
照れてる場合じゃないですよセルティさん!
「呼んでみるかい?お義父さんって、ほら静っぐはっ」
「うるせぇんだよ!」
静雄さんは新羅さんを殴り付けた
一応手加減はしたらしい……
ていうか照れ隠し?
ほんのり静雄さんは顔が赤かった
『お義母さんか……』
セルティさんは未だに「お義母さん」の響きを噛み締めてるようだ
「呼ばないからなセルティ!」
静雄さんの声はセルティさんには聞こえていないらしい
新羅さんが殴られるのは日常茶飯事なのかな?
「酷いよセルティ……でもそんなセルティも素敵だ……」
「タフですね新羅さん」
そんなこんなのちょっと騒がしくなった金曜日でした
End
*****
『帝人!』
「はい?」
『今度家に遊びにおいで』
「良いんですか?」
『あぁ、それで……良ければ私をそこでお母さんと呼んでくれ!姉さんでも良いぞ!』
「あはは……」
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作品名:池袋のとある洋菓子店~金曜日~ 作家名:神郷