【イナズマイレブン】 一土 キス題
そう言われて、俺はここからどう行動を起こせばいいか未だに悩んでいた。
ここはライオコット島のユニコーン宿舎。FFIの間、アメリカ代表として選手登録されている俺と一之瀬他チームメイトは皆ここで寝起きしている。
部屋は一人に一部屋与えられているのだが、毎日のように一之瀬は俺の部屋に来る。たまに俺が一之瀬の部屋に行く。隣同士だけど。
夕飯も済んだ後の自由時間の出来事だ。
「そ、そんなこと言われても……いつもお前からしてくるから……」
「そうだね。でも、たまには、見たいんだ。土門が俺に顔近付けてくるところ」
つくづく思うが、俺の幼馴染みは悪趣味だ。
こんな女みたいに可愛くもなんともない奴にキスをされたい、してくるところを見たいだなんて。
でも、このフィールドの魔術師と呼ばれる彼には俺は絶対敵わないのだ。
覚悟を決めて、ベッドに座っている一之瀬の前に正座する。
「……す、するから、な」
「いつでもどうぞ」
立て膝になって、瞳を閉じた一之瀬の前に顔を持っていく。
ふんわりと、彼の顎と頬に手を添えて、おそるおそる唇を近付ける。
「う……うう……」
「まだ?」
俺が後数センチ、数ミリまで顔を近づけたところで、突然一之瀬が目を開けた。
「うおわ!!! 何だよ突然! びびるじゃねえか!」
「ごめんごめん。あんまりにも土門が俺を待たせるから我慢できなくなっちゃって」
ふわり。
あっという間に、触れるだけのキスをされた。
「えっ……!? 何……今の……」
「頑張ったから、今日は俺からしてあげるよ。でも、次は飛鳥からしてね!」
「あ、す……何だと……!?」
「え? 名前呼んだだけだよ?」
やっぱり、俺の幼馴染みは一枚上手である……。
おわり
作品名:【イナズマイレブン】 一土 キス題 作家名:えらこ@ついった