un ciel
それなのに、
「刹那」
君は違うと言ったね。
囚われたような瞳で蒼を見続ける彼を、私はふいに抱き寄せた。刹那は私の体に凭れ、何も言わずに目蓋を閉じた。私はどうかしてしまったのだろうか。あんなにも憧れていた空が怖いだなんて。刹那の言うとおり、やはり神はいない、と?いや、そうではないのだ。あまりにも彼が、刹那がーー…
「寒いのか?冷えきっている」
私の顔を見上げ、刹那は私の手を握った。彼の体温が、掌にじわりと染みた。
いつのまにか日が傾いて、眩しすぎる夕焼けが私たちに迫っていた。
「刹那…っ」
私の手を解こうとした彼の手首を、思わず強く引いた。振り向いた彼の瞳に反射した金色が、何故か私を切なくさせた。
神様、どうか彼を連れて行かないで。