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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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【完全読み切り】棲

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「君に聞きたいことがあるんだ」
 そういって彼は一口水を飲んだ。
 「同棲しないか」
 「へ」
 「正直うちの親がさ、僕らのこと認めてくれそうにないからさ…全然分からないような場所で駆け落ちするって言うのはどうだろうか、と思って」
 「場所のめどは立っているの?」
 「僕はレッドさんたちとチームをくんだとき、僕個人の隠れ家をコガネに用意した。掃除すれば今でも住めるよ。住民票はとってある。親には何にも伝えてないけどさ」
 ユウキくんはすごく真剣に考えているのか、それともふざけているのか分からない。
 「本気なの?」
 「もちろん」
 「ちょっと考えさせて」

 #

 男の子とふたりっきりになる、しかも大好きなユウキくんと、となるとどうしてもドキドキしてしまう。ユウキくんの欠点をみてもユウキくんのことを好きでいつづけられる、それは自信がある。エッチな本やDVDをベッドの下から見つけても、別に問いつめることもしないつもりだ。ただ、彼には、その性格故に生じるとんでもない欠点がある。

 自分のことをあまり考えず、ときには私を守るがために自殺行為に走るときすらある。
 アクア団との戦闘で相手のサメハダーに腕をちぎられそうになっても私のことを最優先に考えつづけた、マグマ団との戦闘で自分が焼死しかねない状況下でも私に全く一つのやけどもつくらせまいとした、そんな彼だからこそ、急にいなくなってしまう気がしてならない。もし私が彼に依存していたら、彼がいなくなったとき、放心してショック死しかねない気がする。まず彼が死ぬという前提がおかしいのかもしれないが。

 でも…。

 #

 「ミナモからアサギまではそれほどかからないだろうけど、眠いなら寝てもいいよ」
 「大丈夫だよ」
 「寝てほしくて言ったんだけどな」
 「やっぱりユウキくんもそういうこと考えるんだ」
 「仕方ないじゃん、ハルカちゃんがかわいすぎるんだもの」
 「せめてキスは起きているときにしてよ」
 「我慢できたらね」
 「もう…まあいいや、おやすみ」
 そういってユウキくんの胸にもたれ掛かり、目を閉じる。

 この恋愛はどこまで続くだろうか。